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UXデザイナーのポートフォリオのつくり方|評価される構成と見せ方

UXデザイナーのポートフォリオは、課題をどう捉え、どの根拠で解決に導いたかという思考の過程で評価されます。たくさんの経歴のなかからどのプロジェクトをピックアップすればよいのか、守秘義務があるなかでどの経歴をどのように書けばよいのかなど、ポートフォリオについての悩みは多くあります。

本記事では、採用担当者が見るポイント、基本構成、ケーススタディをつくる手順、仕上げのポイントを順に解説します。書類選考と面接の両方で使えるポートフォリオをつくりたい方はぜひお役立てください。

この記事のポイント

  • UXデザイナーのポートフォリオで見られる点:課題の捉え方と思考プロセス、担った役割と関与範囲、ユーザーや事業にもたらした成果、関係部署やエンジニアとの協働
  • 基本構成:プロフィールと得意領域、掲載プロジェクトの一覧、プロジェクトごとの概要と成果、使用ツールと対応できる工程の4要素で組み立てる
  • ケーススタディの書き方:背景と課題、リサーチから立てた仮説、設計・検証・改善の流れ、成果と振り返りをプロジェクトの進行順に示す
  • 掲載するプロジェクトの選び方:応募先の事業領域に近い案件を優先し、近い案件がなければ課題の構造が似ている案件の共通点を説明する
  • 守秘義務への配慮:契約内容を確認したうえで、固有情報を伏せる、画面をつくり直す、数値を相対的に示すといった方法で公開できる範囲に調整する

1. 採用担当者がUXデザイナーのポートフォリオで確認するポイント

採用担当者は、UXデザイナーのポートフォリオから、入社後に同じ水準の仕事を再現できるかを読み取ろうとします。経験者の採用で評価に差がつきやすいのは、成果物の量よりも、判断の根拠や担当した範囲が明確に書かれているかどうかです。

ここでは、採用担当者がポートフォリオで確認するポイントを4つの観点に分けて解説します。
 

1-1. 課題の捉え方と解決までの思考プロセス

採用担当者が重視することが多いのは、デザイナーが課題をどう定義し、どの根拠で解決策を選んだかという思考プロセスです。UXデザインの成果物は、同じ画面でも前提となる課題設定によって評価が変わります。例えば会員登録フォームの改善では、入力項目の多さと登録する動機の弱さのどちらを課題としたかで、選ぶべき打ち手が異なります。

ポートフォリオでは、課題の仮説、検討した複数の案、採用しなかった案とその理由をセットで示すのが基本です。完成画面だけを並べると、根拠を持って判断した結果なのかを採用担当者が見分けられません。判断の分岐点を案件ごとに明示し、どの情報をもとに方向を決めたかを書き添えると、思考の筋道が伝わります。
 

1-2. プロジェクトで担った役割と関与した範囲

チームで進めたプロジェクトを掲載する場合は、自分が担った役割と関与した範囲を明記します。UXデザインはリサーチャーやプロダクトマネージャー、エンジニアなど複数の職種で進めることが多く、成果がチーム全体のものになりやすいためです。役割の記載がないと、採用担当者はどこまでが本人の仕事かを判断しにくく、評価を保留する場合があります。

役割を記載するときは、担当工程、チーム構成、意思決定への関与度の3点を書き分けます。例えば、「6人のチームでユーザーインタビューの設計と実施を担当し、画面設計はレビューのみ関与した」と書けば担当範囲の線引きを明確にして伝えられます。主担当でなかった工程は、レビューや補助など関わり方を区別して書きましょう。
 

1-3. デザインがユーザーや事業にもたらした成果

成果は、デザインの変更によってユーザーの行動や事業の指標がどう変わったかを、比較できる形で示します。採用担当者が、事業にどれだけ貢献できる人材かを判断する材料にするためです。定量的な成果を書く場合は、改善前後の完了率や問い合わせ件数など、変化の幅と計測期間をセットで記載します。

数値を公開できない場合や、リリース前に異動して効果測定に関われなかった場合は、定性的な成果で補います。該当するのは、ユーザビリティテストでのタスク完了状況の変化、サポート部門に届いた利用者の声、社内の意思決定への影響などです。改善率を載せる場合は、数値の出どころと計測条件を面接で説明できる状態に整えます。
 

1-4. 関係部署やエンジニアと協働した経験

関係部署やエンジニアと協働した経験は、デザインを実装まで届けられる人材かを示す材料です。ポートフォリオに書くべきなのは、技術的な制約を受けて仕様を変更した場面や、営業部門やカスタマーサポートの意見を設計に反映した場面です。合意形成の場面は、誰と何について意見が分かれ、どの情報をもとに決着したかまで書くと、調整の進め方が伝わります。

2. UXデザイナーのポートフォリオに盛り込む基本構成

採用担当者は限られた時間で複数の応募書類を確認するため、ポートフォリオは全体像をつかんでから関心のある案件を深く読める構成にします。基本となる要素は、プロフィール、プロジェクトの一覧、各案件の概要、使用ツールと対応工程の4つです。ここでは、UXデザイナーのポートフォリオに盛り込みたい基本構成を4つの要素に分けて解説します。
 

2-1. プロフィールと得意領域

プロフィールの冒頭数行で、どの領域のどの課題を解決してきたデザイナーかを伝えます。採用担当者はプロフィールを手がかりに、続くプロジェクトをどの観点で見るかを決めることが多いためです。プロフィールに盛り込む項目は次の3つです。得意領域を広げすぎると強みがぼやけるため、掲載する実績で裏づけられる領域に絞って書きます。

・経歴の要約
在籍した企業の業種、UXデザインに携わった年数、担当してきたプロダクトの種類を記載します。

・得意領域
書く対象は、toB向けSaaSの業務画面やECサイトの購入導線など、成果を出してきた具体的な領域です。

・志向するキャリア
リサーチの専門性を高めるのか、デザインチームのマネジメントを担うのかなど、今後目指す役割を示します。
 

2-2. 掲載プロジェクトの一覧

掲載プロジェクトの一覧は、採用担当者が詳細ページを読む前に、どの案件を開くかを判断するための目次の役割を持つページです。一覧には案件ごとに、プロダクトの種類、担当した役割、期間、成果の要点を短く添えます。サムネイル画像だけの一覧では案件の中身が伝わらず、詳細ページまで読まれない可能性があります。

掲載数は多ければよいわけではありません。経験者の場合は、応募先で求められる業務に近い案件を厳選し、各案件のケーススタディを充実させるほうが、思考プロセスを伝えられます。案件の並び順は時系列にこだわらず、応募先との関連度や成果の大きさを基準に決めます。
 

2-3. プロジェクトごとの概要と成果

各プロジェクトの詳細ページの冒頭には、案件の全体像を1画面で把握できる概要欄を置きます。採用担当者は、本文より先に概要欄で案件の規模と本人の貢献を確認する場合があります。

概要欄の成果は、詳細ページの本文で説明する内容の結論にあたります。概要欄と本文で数値や役割の書き方が食い違うと信頼性を損なうため、表記をそろえます。
 

2-4. 使用ツールと対応できる工程

使用ツールと対応できる工程は、入社後にどの業務を任せられるかを採用担当者が判断する材料になります。ツールは、Figmaなどのデザインツール、プロトタイピングツール、アクセス解析ツールを用途別に整理し、業務で使った範囲を書きます。

ツール名を並べるだけでは習熟度が伝わらないため、どの工程でどのツールを使ったかを対応させることも大切です。

3. UXデザイナーのケーススタディをつくる手順

ケーススタディは、1つのプロジェクトを題材に、課題の発見から成果までの過程を説明するページです。UXデザイナーのポートフォリオでは中心となる部分で、採用担当者が思考プロセスを順に追える構成にするため、プロジェクトの進行順に沿って書きます。ここでは、ケーススタディをつくる手順を4つのステップに分けて解説します。
 

3-1. プロジェクトの背景と課題を整理する

ケーススタディの最初のステップは、プロジェクトが始まった背景と、解決すべき課題の整理です。背景には、事業の状況、プロダクトの利用者、プロジェクトが立ち上がったきっかけを書きます。課題はユーザー側と事業側に分けて書くと、デザインが両者をどう結びつけたかが伝わります。

例えば業務管理SaaSの改善であれば、ユーザー側の課題は初期設定の操作がわかりにくいこと、事業側の課題は導入初期の解約が多いことです。課題は、着手時点で把握していた内容と、リサーチ後に再定義した内容を区別して書きます。
 

3-2. リサーチから仮説を立てた過程を示す

リサーチの工程では、何を調べ、どの事実から仮説を導いたかを順を追って示します。採用担当者が確認するのは、選んだ手法が課題に合っていたかと、結果をどう解釈したかです。ユーザーインタビュー・アクセス解析・競合調査などの手法ごとに、対象者数や期間といった条件と主な発見を記載します。

発見から仮説へのつながりは、因果関係がわかる文章で示します。例えば、「インタビュー対象者の多くが初期設定の途中で操作をやめていた事実から、設定項目を段階的に表示すれば完了率が上がるという仮説を立てた」といった書き方です。リサーチ結果の図表を貼り付けるだけでは解釈が伝わらないため、図表ごとに読み取った結論を1行添えます。
 

3-3. 設計・検証・改善の流れを図やプロトタイプで見せる

設計から検証、改善までの流れは、ワイヤーフレームやプロトタイプを使い、案がどう変わったかがわかる形で見せます。文章だけでは画面の変化が伝わりにくいためです。ユーザビリティテストで見つかった問題と修正内容を対応させると、検証結果を設計に反映する力を示せます。

・初期案と改善案の比較
同じ画面の変更前後を横に並べ、変更した箇所に注記を付けます。

・ユーザーフロー図
画面単位の説明だけでは見えない、利用者が目的を達成するまでの流れを示す図です。

・プロトタイプへのリンク
操作感を確かめてもらうため、閲覧権限を設定したうえで共有します。

図には説明文を添え、何を検証してどう判断したかを文章でも書きます。
 

3-4. 成果と振り返りをまとめる

ケーススタディの最後には、プロジェクトの成果と、振り返りから得た学びをまとめます。成果は、課題を整理した段階で掲げた目標に対する達成度として書くと、ケーススタディの冒頭と結末がつながります。

振り返りに書く内容は、うまくいかなかった点と、次のプロジェクトで変えたい進め方です。例えば、リサーチの対象者が既存顧客に偏り、新規利用者の視点が不足していたといった反省は、自分の仕事を客観視できる姿勢を示す材料になります。反省点だけで終わらせず、学びを次の案件でどう活かしたかまで書くと、成長の過程が伝わります。

4. UXデザイナーのポートフォリオを仕上げるポイント

基本構成とケーススタディがそろったら、応募先に合わせた調整を加えて仕上げます。同じ実績でも、掲載する案件の選び方や見せ方によって、採用担当者に伝わる強みは変わるためです。ここでは、UXデザイナーのポートフォリオを仕上げるポイントを3つに分けて解説します。
 

4-1. 応募先の事業領域に近いプロジェクトを優先して掲載する

応募先の事業領域に近いプロジェクトを優先して掲載すると、採用担当者が入社後の業務との接点を見つけやすくなります。toB向けの業務システムとtoC向けのアプリでは、ユーザーの利用状況や重視される指標が異なるためです。応募前に求人票や企業のプロダクトを確認し、対象ユーザー、プロダクトの種類、開発体制の3点で近い案件を選びます。

近い案件がない場合は、課題の構造が似ている案件を選び、共通点を説明文で補います。例えば医療系サービスに応募する際に金融系アプリの実績を載せるなら、示すべき共通点は専門用語の多い情報を正確に伝える設計です。応募先ごとに掲載順や概要文を調整し、事業との関連が伝わる構成に整えます。
 

4-2. 守秘義務に配慮して掲載内容を調整する

守秘義務のある案件は、勤務先やクライアントとの契約内容を確認したうえで、公開できる範囲に調整して掲載します。秘密保持契約や就業規則によって、画面の掲載や数値の公開が制限されている場合があるためです。判断に迷う場合は、掲載前に在籍企業や取引先へ確認を取ります。調整の方法は次の3つです。

・固有情報を伏せる
企業名やサービス名、ロゴを伏せ、業種や規模で表現します。

・画面をつくり直す
実際の画面の代わりに、構造や考え方が伝わるダミーの画面を作成します。

・数値を相対的に示す
実数の代わりに使えるのは、改善前を100とした指数など、公開可能な範囲の表現です。

パスワード付きのページで公開範囲を限定する場合も、共有先や閲覧条件が契約内容に反しないかを確認します。
 

4-3. 面接で深掘りされる前提で説明できる内容にする

ポートフォリオに載せる内容は、面接で理由や経緯を詳しく問われても説明できる範囲に絞ります。経験者の面接では、ポートフォリオをもとに判断の根拠や代替案を質問される場合があるためです。想定される質問には、なぜその手法を選んだのか、ほかにどの案を検討したのか、もう一度取り組むなら何を変えるのか、などがあります。

面接前の準備は、掲載した判断ごとに、根拠となったデータや関係者とのやり取りを振り返ることです。資料の見栄えを優先して実際より整った流れに書き換えると、質問への回答と食い違うため、プロジェクトの実際の進み方に沿って記載します。

まとめ

UXデザイナーのポートフォリオは、採用担当者が確認する思考プロセス・役割・成果・協働の4つの観点から逆算して構成すると、経験者としての強みが伝わります。基本構成はプロフィール、プロジェクト一覧、概要欄、使用ツールと対応工程の4要素で、中心となるケーススタディは背景と課題、リサーチ、設計と検証、成果と振り返りの順にまとめます。

仕上げの段階で確認するのは、応募先との関連度、守秘義務への配慮、面接で説明できるかの3点です。まずは直近の代表的なプロジェクトを1件選び、課題設定と判断の根拠を書き出すところから始めましょう。

マスメディアンは、マーケティング・クリエイティブ職種に強みを持つ転職エージェントです。UXデザイナーの経験を活かせる転職をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

執筆・編集

マスメディアン編集部
マーケティング・クリエイティブ領域に特化した転職支援サービス「マスメディアン」の編集チームです。業界・職種に精通したキャリアアドバイザーやリクルーティングアドバイザーへの取材、企業の採用情報、公的機関や各種調査データなど、信頼できる情報をもとに記事を制作・監修しています。求職者が正しい情報をもとに納得のいくキャリア選択ができるよう、正確性・客観性・実用性を重視したコンテンツをお届けします。(厚生労働大臣許可番号:人材紹介 13-ユ-040475)

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