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データサイエンティストが「やめとけ」「つらい」と言われる理由は?

データサイエンティストはやめとけという言葉は、担当する業務範囲や組織の体制を前提にした感想として語られる場合が多くあります。実務経験を積んだ人にとって必要なのは、職種そのものへの評価と、いま置かれている環境への評価を切り分けて捉えることです。

当記事では、やめとけと言われる6つの背景、それでも魅力が語られる4つの理由、AI時代の将来性、向いている人の特徴、転職前に確認したい4つのポイントを順に解説します。次のキャリアを選ぶときの判断材料としてお役立てください。

目次

1. 「データサイエンティストはやめとけ」と言われる6つの理由

やめとけと語られる背景にあるのは、業務時間の配分、求められる知識の幅、部門間の調整、評価の対象、学習の継続、企業ごとの担当範囲という6つの特性です。以下では、6つの理由が実務のどの場面で生じるのかを順に解説します。
 

1-1. 分析よりデータ収集・前処理に時間を取られる場合がある

データ分析の業務時間は、モデルの構築よりもデータの収集と前処理へ多く配分される場面があります。社内のデータは部門ごとに別のシステムへ蓄積され、形式も粒度も異なる状態で手元へ届くためです。

例えば販促施策の効果検証では、POSデータや会員データ、Webの行動ログを同じ顧客IDでつなぎ、集計の期間と粒度をそろえる作業から着手します。前処理の設計は分析結果の再現性を左右する部分であり、担当した経験はそのまま実績として説明できます。データ基盤の整備状況によって工程の比重が変わるため、求人ごとに体制を確認しておきましょう。
 

1-2. 統計・機械学習・プログラミング・ビジネスの幅広い知識が求められる

データサイエンティストの業務は、統計・機械学習・プログラミング・事業理解という複数の領域にまたがります。課題の設定から実装、示唆の提示までを一連の流れとして担当するためです。

例えば解約予測では、事業部門と解約の定義を決め、特徴量を設計し、アルゴリズムを選んで精度を確かめ、施策の対象者リストとして提供するところまでが担当範囲です。求められる比重は企業ごとに異なり、強みのある領域を軸に周辺の知識を足す形で伸ばせます。チーム内の分担を確認しておくと、自分の専門性を活かせる範囲がはっきりします。
 

1-3. 分析結果を施策につなげるために関係部門との調整が必要になる

分析結果が施策として動き出すまでには、事業部門やシステム部門との合意形成の工程が挟まります。分析の示唆を実行するのは他部門であり、予算や工数、既存の業務フローとの調整を経て意思決定されるためです。

例えば需要予測の結果を発注業務へ反映する場合、担当者が使う画面、更新の頻度、予測と実績が離れたときの運用ルールまで決めます。依頼の背景にある意思決定を最初に確認しておくと、分析の設計段階から実行を見据えられます。調整を重ねた経験は、事業側から直接相談を受ける立場につながる資産です。
 

1-4. モデルの精度だけでなく事業成果まで求められる

評価の対象は、予測精度の指標だけでなく、施策の実行後に動いた事業指標まで広がります。分析への投資は事業の成果で回収されるため、売り上げや継続率の変化まで説明が求められます。

例えば解約予測モデルのAUCが高い水準にあっても、抽出した対象者への引き止め施策が継続率をどれだけ動かしたかが評価の軸となります。精度の指標と事業指標の対応関係を施策の設計時にすり合わせ、効果検証の方法まで分析の企画に含めておきましょう。事業成果まで語れる実績は、選考でそのまま評価材料になります。
 

1-5. AI・分析技術の変化に合わせて継続的な学習が必要になる

実務で使うライブラリやクラウドの分析基盤、生成AIの機能は更新の頻度が高く、学習を業務の一部として組み込む働き方が定着しています。手法の選択肢が増えるほど、目的に合う道具を選ぶ判断が成果を左右するためです。

例えば表形式データの予測では勾配ブースティングの実装が更新され、モデルの再学習や監視を担うMLOpsの仕組みも整備が進みます。学習の負担を一定に保つ方法は、担当領域の公式ドキュメントとリリースノートの定期的な確認、社内の勉強会や輪読の仕組みづくりです。学習の時間を業務として確保している企業であれば、個人が抱える負担の偏りを抑えられます。
 

1-6. 同じ「データサイエンティスト」でも企業によって担当業務が大きく異なる

担当する工程の範囲は、同じ職種名の募集であっても企業ごとに大きく変わる部分です。実際の求人は、担当する工程によって次のように分かれます。

・BIツールの整備と示唆の提示が中心の企業
・機械学習モデルの本番実装まで担う企業
・データ基盤の設計から任される企業
・事業企画に近い立場で課題設定から関わる企業

求人票の職種名よりも担当工程の範囲で比較すると、経験を活かせる企業を選びやすくなります。

2. それでもデータサイエンティストに魅力がある4つの理由

データサイエンティストの仕事には、意思決定への関与、担当できる工程の広さ、専門性の応用範囲、活躍できる場の広がりという4つの魅力があります。以下では、4つの魅力を実務の場面に沿って解説します。
 

2-1. データをもとに事業の意思決定へ関われる

分析の結果は、投資の判断や施策の優先順位を決める場面で直接使われます。経営や事業の意思決定は、売り上げや利用者数、コストの見通しを根拠に進むためです。

例えば新規出店の候補地を選ぶ場面では商圏の需要を推計し、価格改定を検討する場面では影響をシミュレーションして判断材料を用意します。広告予算の配分であれば、チャネルごとの貢献度の推計が議論の起点です。役員会や事業部の定例へ分析結果を持ち込み、議論の流れが変わる場面に立ち会えます。判断の根拠を自分の分析で用意できる立場は、担当領域を広げるきっかけにもなるでしょう。
 

2-2. 課題設定から分析・施策改善まで幅広く携われる

データサイエンティストは、課題の設定、データの整備、分析、施策の実行、効果の検証まで一連の流れに関われます。分析の価値は施策の改善まで到達して確定するため、後工程まで同じ担当者が受け持つ体制が多い職種です。

例えばECサイトの回遊を改善する案件では、離脱の多い導線を特定し、仮説を立て、レコメンドのロジックを変更し、A/Bテストで継続率の変化を確かめます。一連のサイクルを回した経験は、職務経歴書で担当工程として具体的に説明できる材料です。上流と下流の両方に関わるほど、次の職場で任される範囲も広がります。
 

2-3. 専門性を活かしてマーケティング・商品開発など複数の領域で活躍できる

データを扱う技能は、マーケティング・商品開発・需要予測・リスク管理など複数の領域へ応用できます。課題を数値で定義し、仮説を立てて検証する進め方は、業種や部門を越えて共通するためです。

例えば顧客の行動ログを分析した経験はCRMの設計で生き、需要予測の経験は在庫や生産計画の最適化に活かせます。テキスト分析の経験であれば、問い合わせ対応の改善や商品レビューの分類が応用先となります。応用できる場が広いため、同じ分析職のなかで扱うテーマを選び直しながらステップアップできるでしょう。
 

2-4. データ活用が進む企業で専門性を活かせる

データを事業の判断に使う取り組みが広がり、分析の専門性を持つ人材を事業部門へ配置する企業も見られます。データの蓄積量が増えるほど、活用の設計を担う役割の必要性が高まるためです。

活躍の場は、自社サービスを運営する事業会社、コンサルティング会社などの支援会社、機械学習を機能として提供するプロダクト開発の3つに大きく分かれます。事業会社では自社データに長く関わり、指標の改善を積み上げる働き方です。支援会社であれば業種の異なるデータに触れ、課題設定の型が蓄積される環境です。経験を活かせる場が複数あるため、扱いたいテーマから転職先を選び直せます。

3. AI時代におけるデータサイエンティストの将来性

生成AIの普及によって、データサイエンティストの業務は、処理の実行から課題の設定と結果の判断へ重心が移りつつあります。ここでは、AI時代の将来性を4つの観点から解説します。
 

3-1. AIによってデータ処理・分析の一部は効率化される

コードの生成や集計、可視化といった定型的な工程は、生成AIや自動化ツールによって短時間で進められるようになりました。手順が定まっている作業ほど、ツールによる再現の精度が高まるためです。

例えばSQLの下書き、探索的データ分析の初期集計、グラフを描くコード、報告資料の整形は、生成AIを使うと作成の時間を圧縮できます。生成物の妥当性を確かめる工程は担当者の役割として残るため、結合キーの正しさや期間の切り方は自分の目で確認しましょう。空いた時間を仮説の検討や施策の設計へ配分できる点が、実務での効果です。
 

3-2. 課題設定や分析結果の解釈は引き続き重要になる

何を解くべきかを決める工程と、結果を事業の文脈で解釈する工程は、担当者が担う役割として残ります。課題の設定には、事業の制約、データが生まれる業務の流れ、意思決定者の関心といった社内固有の情報が必要になるためです。

例えば解約率が上がったという相談を受けた場合、解約の定義、対象とするセグメント、比較する期間を決めるところから分析が始まります。結果を読むときは、相関と因果を切り分け、施策として動かせる要因かどうかを判断します。社内の文脈を踏まえた判断は、実務経験がそのまま土台になる部分です。
 

3-3. 分析結果を事業施策へつなげる役割の重要性が高まる

分析の結果を施策として実行するところまで伴走する役割は、これまで以上に評価の対象になります。分析を実行するコストが下がるほど、成果の差は施策の実装と運用で生まれるためです。

例えば予測モデルを業務へ組み込む場合、更新の頻度、担当者が使う手順、精度が変化したときの対応まで設計します。ダッシュボードであれば、見る人と意思決定のタイミングに合わせて指標を絞り込む作業が中心です。事業部門と同じ指標で会話でき、実行までの段取りを描ける分析職は、選考でも評価されやすいでしょう。
 

3-4. AIを活用して分析業務そのものを高度化する力が求められる

AIを業務へ組み込み、分析の速度と再現性を高める進め方が新しい評価軸になりつつあります。同じ工数でも、扱えるデータの量と検証できる仮説の数が変わるためです。

例えば生成AIをコードの点検や特徴量のアイデア出しに使い、LLMで問い合わせ履歴やレビューといった非構造データを分類する運用が広がっています。導入の可否は、精度、コスト、運用の負荷という3点で判断しましょう。AIを前提に業務プロセスを組み直した経験は、転職市場でも説明しやすい実績になるでしょう。

4. データサイエンティストに向いている人の特徴

向いているかどうかは、仮説の立て方、学習の習慣、説明の仕方、目的の置き方という4つの観点から確認できます。ここでは、4つの特徴が業務のどの場面で効くのかを解説します。
 

4-1. 不完全なデータから検証可能な仮説を立てられる人

実務のデータは欠損や表記のゆれを含む状態で届くため、手元の情報で検証できる形へ問いを組み替える力が生きます。データがそろうのを待つ間にも、事業の判断は進んでいくためです。

例えば会員データの職業欄が任意入力で粒度がまちまちな場合、購買履歴から推定できる区分に置き換えて検証します。ログの取得が施策の途中から始まっていれば、比較できる期間に絞って効果を評価する方法が有効です。使えるデータの範囲で結論を出し、精度の限界を添えて共有する進め方は、意思決定の速度に直結します。
 

4-2. 数理・機械学習・データ技術を継続的に学べる人

統計や機械学習の考え方と、実装を支えるデータ技術の両方を学び続ける姿勢は、業務の精度を支えます。手法の前提条件を確認しながら選べるかどうかで、分析結果の説得力が変わるためです。

例えばクラウドのデータウェアハウスに追加された機能、特徴量の管理方法、モデルの監視の仕組みは、実務の効率へ直接影響します。扱う手法の前提となる分布や独立性、サンプルサイズを確認し直す習慣も、結果の信頼性を高める要素です。学習は担当業務に隣接する範囲から始め、1つの案件で1つ新しい手法を試す形が続けやすくなります。
 

4-3. 分析結果を非専門職にもわかる形で説明できる人

分析の価値は、他部門の担当者へ内容が伝わった段階で意思決定に反映されます。施策を実行するのは事業部門であり、判断の材料として使える形になって初めて成果につながるためです。

例えば予測モデルの説明では、AUCの数値よりも、上位10%の対象者に絞ったときに何件の解約を捉えられるかを示すほうが伝わります。図表は1枚につき伝えたい要点を1つに絞り、判断者が普段使う指標の形に置き換えて提示しましょう。相手の意思決定に合わせて説明の粒度を変えられると、分析の依頼も集まりやすくなります。
 

4-4. 分析そのものではなく事業課題の解決を目的にできる人

分析は事業課題を解決する手段であり、目的から逆算して手法を選べる進め方が評価につながります。手法の高度さと事業へのインパクトは、別の軸で決まるためです。

例えば集計と可視化だけで意思決定が進む場面もあり、1週間で出せる粗い推計を先に共有するほうが役立つ場合もあります。判断が変わる論点にだけ精緻なモデルを投じると、限られた工数で成果を積み上げられます。分析の依頼を受けた段階で、どの意思決定に使うのかを確認する習慣も有効です。目的に合わせて手段の大きさを選べる人は、事業部門から継続して相談を受ける立場になります。

5. データサイエンティストへの転職前に確認したい4つのポイント

入社後の働き方は、担当する業務範囲、前処理を担う体制、施策へ反映する仕組み、評価の指標という4つの情報から見通せます。ここでは、求人票と面接で確認したい項目を順に解説します。
 

5-1. 分析・データ基盤・事業企画のどこまで担当する求人か確認する

求人ごとに担当する工程の範囲が変わるため、比較の基準は業務の中身に置きましょう。同じデータサイエンティストの募集でも、任される領域によって身につく経験が変わるためです。選考で確認しておきたい観点は、次の4つです。

・分析の範囲:集計と可視化が中心か、予測モデルの構築まで含むか
・基盤の範囲:テーブル設計やデータパイプラインの構築を担当するか
・事業企画の範囲:課題の設定や施策の立案から関わるか
・実装の範囲:モデルの本番運用と改善まで受け持つか

入社直後に任される業務と、1年後に期待される役割を分けて聞くと、経験の積み上がり方を具体的に確認できます。
 

5-2. データ収集・前処理を担う体制が整っているか確認する

分析に配分できる時間は、データ基盤の整備状況とチーム内の分担で決まります。集約済みのデータがそろっている環境ほど、着任後すぐに分析へ着手できるためです。 確認したい項目は、次の4点です。

・データウェアハウスの有無と集約されているデータの範囲
・データエンジニアやアナリティクスエンジニアの在籍
・テーブル定義書やクエリの共有状況
・データへの権限申請の運用

基盤の構築段階から参画する求人であれば、設計の経験を積む機会として捉えられます。整備の段階を把握しておくと、入社後1年でどの工程に時間を使うかを見通せます。
 

5-3. 分析結果を施策へ反映できる組織体制か確認する

分析の成果は、施策として実行される仕組みがあるほど積み上がります。分析チームの位置づけと依頼の入り方によって、施策までの距離が変わるためです。 確認したい観点は、次の4点です。

・分析チームが事業部門付きか横断組織か
・依頼が定例の相談として入るか都度の依頼か
・意思決定者と直接やり取りする機会があるか
・施策を実行する部門との連携の頻度はどの程度か

直近1年で分析が施策につながった事例を挙げてもらうと、体制の実態を具体的に確認できます。分析の依頼が届くまでの流れを聞いておくと、着任後の動き方も描けます。
 

5-4. モデル精度と事業KPIのどちらを評価される仕事か確認する

評価の指標が精度なのか事業KPI(重要業績評価指標)なのかによって、日々の業務の進め方が変わります。研究開発に近い部署ではモデルの性能や技術的な発表が評価の対象になり、事業部門付きのチームでは施策の売り上げ貢献や継続率が中心になるためです。面接で確認したいのは、次の3点です。

・評価の周期
・評価者
・評価に使う指標

こうした項目は、転職エージェントを介して確認する方法もあります。評価軸と自分が伸ばしたい専門性が重なる求人を選ぶと、入社後の実績も説明しやすくなるでしょう。

まとめ

データサイエンティストがやめとけと言われる背景には、前処理に配分される時間、求められる知識の幅、部門間の調整、事業成果までの評価、継続的な学習、企業ごとの担当範囲の違いという6つの要素があります。いずれも企業のデータ活用の段階や組織体制によって現れ方が変わるため、求人単位で情報を集めることが判断の近道です。選考では、担当する工程の範囲、データ基盤の整備状況、施策へ反映する仕組み、評価の指標という4点を確認しましょう。

マスメディアンは、マーケティング・クリエイティブ領域に特化した転職エージェントです。経歴の棚卸しや職務経歴書の作成、企業ごとの担当範囲や評価基準の確認などに、専任のキャリアエージェントが伴走いたします。ぜひお気軽にご相談ください。

執筆・編集

マスメディアン編集部
マーケティング・クリエイティブ領域に特化した転職支援サービス「マスメディアン」の編集チームです。業界・職種に精通したキャリアアドバイザーやリクルーティングアドバイザーへの取材、企業の採用情報、公的機関や各種調査データなど、信頼できる情報をもとに記事を制作・監修しています。求職者が正しい情報をもとに納得のいくキャリア選択ができるよう、正確性・客観性・実用性を重視したコンテンツをお届けします。(厚生労働大臣許可番号:人材紹介 13-ユ-040475)

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