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IRの志望動機の書き方と例文|説得力を高めるポイントを解説

IRの志望動機は、これまでの実務経験と応募先企業の開示方針・経営課題を関連づけることで、採用担当に「自社の開示実務と投資家対話を任せられる人材か」を判断してもらいやすくなります。

当記事では、志望動機に盛り込みたい4つの要素・内容を具体化する手順・転職元別の例文・説得力を高めるポイント・面接での伝え方を解説します。自身の経歴に置き換えながら、志望動機作成の参考としてご活用ください。

目次

1. IRの志望動機に盛り込みたい4つの要素

採用担当が知りたいのは、「入社後にどの開示業務と投資家対応を任せられるか」です。そのため志望動機では、

・IRを志望する理由と経験のつながり
・その企業を選んだ理由
・活かせる経験・実績
・入社後の貢献

の4点が確認されます。
 

1-1. IRを志望する理由をこれまでの経験と結びつける

IRを志望する理由は、これまでの業務の延長線上に置くと自然です。採用担当は「開示のサイクルと投資家対応を継続して担えるか」を見ているため、経験のなかにIRへ向かう必然性があるかを確かめます。例えば、
 
経理 決算短信の作成を通じて、「数値の背景を投資家へ説明する工程」に関心が生まれた。
経営企画 中期経営計画の策定を通じて、「計画の進捗を資本市場へ伝える役割」に興味が湧いた。

といった流れは説明しやすいでしょう。現職で手応えを感じた場面を起点にすると、志望理由と経験が一本の線でつながります。
 

1-2. その企業のIRを志望する理由を具体的に示す

応募先企業のIRを志望する理由は、直近の開示資料から読み取れる経営課題に踏み込んで書くと説得力が増します。上場企業向けの志望動機は同業他社にも当てはまりやすいため、応募先の資料を根拠にした記述が志望度の判断材料になります。

着目したいのは以下の4点です。

・決算説明資料で繰り返し語られるテーマ
・中期経営計画の重点施策
・統合報告書で示された資本政策
・株主構成

例えば、海外投資家の比率が高い企業なら英文開示や海外ロードショー、事業ポートフォリオの見直しが進む企業なら成長戦略のコミュニケーションなど、関わりたい領域を名指しできる状態が理想です。
 

1-3. IR業務に活かせる経験・実績を示す

経験は、「担当した工程」「扱った規模」「使用したツール」の3つをそろえて示すと具体性が高まります。IRは、決算数値の確定から開示書類の作成、説明資料の設計、投資家との対話、社内へのフィードバックまで幅が広く、どの工程を担えるのかが選考の判断材料になるためです。例えば、下記のような記載をしましょう。
 
経理・財務 決算短信・有価証券報告書の作成、連結決算の締め、開示システムの操作
広報 記者会見の運営、メッセージ設計、経営層のコメント作成

担当回数、投資家の属性、参加人数など、規模が分かる数字も添えましょう。
 

1-4. 入社後にIR担当として貢献したいことを示す

入社後の貢献は、短期(半年~1年)と中期(3年程度)に分けて書くと現実味が出ます。
 
短期 ・決算説明資料の構成の見直し
・想定問答の整備
・面談記録の様式づくり
中期 ・スモールミーティングの拡充
・英文開示の内製化
・投資家の声を経営会議へ還元する仕組みづくり

担当したい業務名まで書くと、入社後の姿が具体的に伝わります。

2. IRの志望動機を具体化する方法

志望動機は、材料をそろえてから組み立てると短い時間で仕上がります。ここでは、「求人票の読み解き」「企業資料の確認」「実績の棚卸し」「文章の組み立て」という4つの手順に分けて解説します。
 

2-1. 求人票から応募先がIR担当に求める役割を整理する

まず、求人票からIR担当に期待される役割を特定します。IRの担当範囲は企業ごとに異なり、開示実務中心の体制もあれば、経営企画や広報を兼ねて投資家対応を主に担う体制もあります。

下記のように業務内容と役割を並べて整理します。と
 
求人票に書かれた業務内容 読み取れる役割の重心
決算短信・有価証券報告書の作成 開示実務。経理・財務部門との連携が中心
機関投資家・アナリスト対応 投資家対話。面談の同席と想定問答の整備
統合報告書・株主通信の制作 非財務情報の編集。サステナビリティ部門との協働
英文開示・海外投資家対応 英語での資料作成・海外投資家との面談

必須要件・歓迎要件を1行ずつに分解し、自身の実績を1つずつ対応させると、強調すべき経験が絞れます。経験が不足する場合は、近い工程の経験と学習中の内容で補いましょう。
 

2-2. 決算説明資料・中期経営計画から企業の経営課題と方向性を確認する

応募先の経営課題は、決算説明資料と中期経営計画から読み取れます。直近4四半期分の決算説明資料・最新の中期経営計画・統合報告書・株主総会の招集通知をまとめて確認しましょう。

注目したいポイント
・重点を置く事業セグメント
・配当方針・自己株式取得などの資本政策
・経営目標として掲げるKPI
・説明会の質疑で繰り返し取り上げられる論点

質疑応答のページや説明会動画には、投資家の関心が表れます。ここで拾った言葉を志望動機に取り込むと、資料を読み込んで応募していることが伝わります。
 

2-3. 自身の経験からIR業務に活かせる実績を棚卸しする

実績の棚卸しは、工程単位で書き出すと応募先の業務へ結びつけやすくなります。大きな職種名だけでなく、案件の起点から完了までを分解し、どの工程を担ったかを整理しましょう。

工程に添えること:
・期間
・規模
・成果
・使用ツール

具体的には、下記のような項目が挙げられます。
 
決算開示 担当回数、対象書類
投資家対応 年間面談件数、相手の属性
資料作成 ページ数、作成期間

そのなかから、応募先の役割に近いものや貢献度の高いものを3~5件に絞りましょう。
 

2-4. 「志望理由→企業を選んだ理由→経験→入社後の貢献」の順で組み立てる

志望動機はこの順で組み立てると読み手が流れを追いやすくなります。分量の目安は、応募書類で300~400字、面接では1分程度です。

冒頭では「IRとして取り組みたいこと」「そこに経験が生きること」を述べます。続けて経験を具体的な数字とともに示し、応募先の経営課題へ接続し、最後に入社後の担当業務で締めます。共通部分と企業ごとに書き換える部分を分けて管理すると、複数社へ応募する際も内容を保てます。

3. 【転職元別】IRの志望動機の例文

ここからは、転職元別に例文を紹介します。経験の示し方と、応募先企業を選んだ理由の結びつけ方に注目してください。
 

3-1. 経理・財務の経験を活かしてIRへ転職する場合の例文

経理・財務の経験は、決算数値の確定から開示書類の作成まで、IRの土台となる工程にそのまま活かせます。以下は、電子部品メーカーの経理部からIR担当へ転職を希望する場合の例文です。

電子部品メーカーの経理部で7年間、連結決算と開示書類の作成を担当してまいりました。四半期ごとの決算短信に加え、直近3年は有価証券報告書の記述情報の取りまとめも担っております。数値の背景にある事業の動きを言語化する工程に手応えを感じ、投資家へ直接説明する役割を担いたいと考えるようになりました。

貴社は今期から事業セグメントの区分を見直し、成長領域の進捗を四半期ごとに開示されています。区分変更後も継続性のある形で数値を説明する場面では、連結決算と開示書類の両方を担ってきた経験が活かせると考え志望いたしました。入社後は決算開示の実務を担いながら、説明資料の構成の見直しにも取り組んでまいります。

 

3-2. 経営企画の経験を活かしてIRへ転職する場合の例文

経営企画の経験は、中期経営計画の内容を資本市場へ伝えるストーリーの設計に活かせます。以下は、人材サービス企業の経営企画部からIR担当へ転職を希望する場合の例文です。

人材サービス企業の経営企画部で5年間、中期経営計画の策定と予実管理を担当してまいりました。5つの事業部門と月次で進捗をすり合わせ、計画と実績の差異を要因ごとに分解して経営会議へ報告する体制を整えております。計画の意図を社内へ伝える機会が増えるにつれ、同じ内容を株主や投資家へ届ける役割に関心が向きました。

貴社は中期経営計画で新規事業への投資を掲げ、その進捗をKPIとして四半期ごとに開示されています。計画の前提と進捗を数値で説明してきた経験は、投資家との対話でも活かせると考え志望いたしました。入社後は決算説明資料の作成を担当し、計画の進捗が読み取りやすい構成づくりに貢献いたします。

 

3-3. 広報・コーポレートコミュニケーションの経験を活かしてIRへ転職する場合の例文

広報・コーポレートコミュニケーションの経験は、メッセージの設計と経営層のコメント作成という形でIRに活かせます。以下は、食品メーカーの広報部からIR担当へ転職を希望する場合の例文です。

食品メーカーの広報部で6年間、報道機関対応と統合報告書の制作を担当してまいりました。年間40件ほどの取材対応に加え、統合報告書では価値創造プロセスのページを事業部門と共同で作成しております。非財務の取り組みを言語化する過程で、財務情報とあわせて企業の方向性を伝える仕事へ携わりたいと考えるようになりました。

貴社はサステナビリティ関連の開示を拡充され、統合報告書と決算説明資料の連動を進められています。編集の実務と社内調整の経験は、開示物の一貫性を保つ場面で活かせると考え志望いたしました。入社後は統合報告書の制作を担いながら、決算説明資料との整合にも取り組んでまいります。

 

3-4. 証券・金融業界の経験を活かしてIRへ転職する場合の例文

証券・金融業界の経験は、投資家が注目する指標を踏まえた資料づくりと想定問答の整備に活かせます。以下は、証券会社のアナリストから事業会社のIR担当へ転職を希望する場合の例文です。

証券会社の調査部でアナリストとして6年間、機械セクターの企業分析とレポート作成を担当してまいりました。担当20社の決算説明会に出席し、業績予想の前提を四半期ごとに更新しております。企業の説明を受け取る立場を続けるなかで、事業の中身を投資家へ伝える側で力を発揮したいと考えるようになりました。

貴社は海外売上比率の拡大に伴い、英文開示と海外投資家との面談の機会を増やしています。セクター全体の見方と投資家の関心事を把握してきた経験は、想定問答の整備や説明資料の設計で活かせると考え志望いたしました。入社後は機関投資家との面談に同席し、対話で得た論点を資料へ反映してまいります。

 

3-5. IR経験を活かして別の事業会社へ転職する場合の例文

IRの経験者は、担ってきた開示の範囲と対話の実績を示し、応募先の体制で担いたい役割まで書きましょう。以下は、電機メーカーのIR担当から、上場から間もない企業のIRへ転職する場合の例文です。

電機メーカーのIR部門で5年間、決算説明資料の作成と機関投資家対応を担当してまいりました。年間120件ほどの投資家面談を担い、スモールミーティングを四半期ごとに運営するとともに、面談で寄せられた論点を月次で経営会議へ報告する仕組みも整えております。開示体制が整った環境で実務を重ねるなかで、これから開示を拡充する段階の企業で仕組みづくりから携わりたいと考えるようになりました。

貴社は上場から3年を迎え、個人投資家向け説明会や英文開示の拡充を掲げられています。面談の運営と経営層への還元を担ってきた経験は、対話の設計と社内体制づくりに活かせると考え志望いたしました。入社後は決算開示の実務を担いながら、投資家の声を経営へ届ける仕組みの整備に取り組んでまいります。

4. IRの志望動機の説得力を高めるポイント

同じ経験でも、応募先の状況と結びつけて語ると説得力が大きく変わります。ここでは、「経営戦略との関連づけ」「経験とIR業務の接続」「関係者調整の示し方」「企業価値向上への貢献の具体化」という4つのポイントを解説します。
 

4-1. 応募先企業の経営戦略やIR方針と志望理由を関連づける

志望理由は、応募先企業が掲げる経営戦略やIR方針と関連づけて書きましょう。開示資料に示された方針を起点にすると、その企業を選んだ根拠が明確に伝わります。

関連付けの材料になるのは、中期経営計画の重点施策・資本効率の改善に向けた取り組み・株主還元の方針・開示の充実に関する計画です。例えば資本効率の改善を掲げる企業なら、事業ポートフォリオの考え方を投資家へどう届けるかという論点に触れ、そこで活かせる経験を続けて書くと、一貫した流れが生まれます。
 

4-2. 財務・経営・情報発信など自身の経験を実際のIR業務につなげる

これまでの経験は、IRの実務のどの場面で生きるのかを書きましょう。財務、経営、情報発信のいずれの経験も、開示物の作成や投資家との対話という具体的な業務へ接続すると、入社後の姿がイメージしやすくなります。

経験とIR業務の接続例
・連結決算の経験→決算短信と説明資料の数値の整合
・予実管理の経験→業績予想の前提の説明
・編集・記事制作の経験→統合報告書の構成づくり

経験の名称を挙げるだけでなく、その経験が活かせる工程と成果物を書き添えると、担当できる範囲が具体的に伝わるでしょう。
 

4-3. 投資家・経営層・社内部門との関係者調整の経験を具体的に示す

関係者調整の経験は、相手・頻度・役割をそろえて示しましょう。IRは投資家、経営層、事業部門、経理・法務の間に立って情報をまとめる場面が多く、調整の実務を担えるかどうかが評価につながります。

例えば、決算開示の前に事業部門から数値の背景を聞き取り、経理と表現をすり合わせ、経営層の確認を得るまでの進行を担った経験は、そのままIRの業務に重なります。関わった部門の数、会議の頻度、期日の管理方法を書くと、進行を任せられる人物だと伝わります。
 

4-4. 「企業価値向上への貢献」を自身が担いたい業務に落とし込む

企業価値向上への貢献は、自身が担いたい業務へ落とし込むと具体性が生まれます。姿勢を述べるだけでなく、どの業務を通じて何を改善するかを書きましょう。

落とし込む先として挙げられるのは、次の4つの領域です。

・開示物の質の向上
例:決算説明資料の構成を見直し、事業の進捗が読み取りやすい形に整える

・対話の量・対象の拡充
例:スモールミーティングを増やし、個人投資家や海外投資家との接点を広げる

・社内への還元の仕組み化
例:面談で寄せられた論点を月次で経営会議へ報告し、意思決定に反映させる

・情報の一貫性の確保
例:統合報告書と決算説明資料の表現をそろえ、社内外で同じメッセージを届ける

5. 面接でも一貫したIRの志望動機を伝えるために整理したいこと

書類と面接で内容がそろっていると、志望動機の説得力はさらに高まります。ここでは、面接でよく聞かれる3つの質問を取り上げ、答えを準備するための整理方法を解説します。
 

5-1. なぜ現在の職種からIRへ転職するのか

現在の職種からIRへ移る理由は、これまでの業務で感じた手応えを起点に整理しましょう。面接では志望動機の背景を確かめるため、転職を考えたきっかけまで掘り下げられます。

準備としては、担当業務のなかでIRに近い工程を書き出し、その工程に取り組んだ際の手応えと、担いたくなった役割を並べます。
 
経理 有価証券報告書の記述情報の作成
経営企画 計画の説明資料の作成

応募書類に書いた志望理由と同じ出来事を面接でも語れる状態にしておくと、一貫性が保てます。
 

5-2. なぜほかの上場企業ではなく応募先なのか

応募先を選んだ理由は、上場企業のなかでその企業を選んだ根拠を整理しておきましょう。面接では、応募先の資料を踏まえた志望かどうかが確かめられます。

根拠として挙げやすいのは次の4点です。

・事業の成長段階
例:上場から間もないため、開示体制の整備に携われる

・開示の方針
例:非財務情報や英文開示など、取り組みたい領域が強化されている

・株主構成
例:海外投資化比率が高く、海外での面談や英文資料の作成に関われる

・経営陣が発信するメッセージ
例:説明会や統合報告書で語られるテーマに共感しており、IRとして伝えたい

このように、応募先の状況と自身が担いたい役割を結びつけて語ると、納得感のある志望動機になります。
 

5-3. 自身の経験を入社後のIR業務でどう活かすか

入社後の活かし方は、IRの年間スケジュールに沿って説明すると具体的にイメージしてもらえます。面接官は、入社直後から任せられる業務と、時間をかけて担ってもらう役割の両方を確かめています。

決算発表の準備説明会の運営、投資家面談への対応、統合報告書の制作といった年間の業務に自身の経験を当てはめ、最初の四半期で担える工程を挙げましょう。あわせて、1年後に改善したい点と3年後に担いたい役割を述べると、長く力を発揮する姿が伝わります。

まとめ

IRの志望動機は、これまでの実務経験と応募先企業の開示方針や経営課題を結びつけることで説得力が高まります。志望理由・企業を選んだ理由・活かせる経験・入社後の貢献という4つの要素をそろえ、決算説明資料や中期経営計画から読み取った論点を根拠にすれば、応募先ごとに書き分けられます。面接でも同じ出来事を語れる状態まで整理しておきましょう。

マスメディアンは、宣伝会議グループが運営するマーケティング・クリエイティブ職種専門の転職エージェントです。広報・IRなどの領域に精通したキャリアアドバイザーが、経歴の棚卸しや志望動機の作成、応募先企業ごとの調整などに伴走いたします。ぜひお気軽にご相談ください。

執筆・編集

マスメディアン編集部
マーケティング・クリエイティブ領域に特化した転職支援サービス「マスメディアン」の編集チームです。業界・職種に精通したキャリアアドバイザーやリクルーティングアドバイザーへの取材、企業の採用情報、公的機関や各種調査データなど、信頼できる情報をもとに記事を制作・監修しています。求職者が正しい情報をもとに納得のいくキャリア選択ができるよう、正確性・客観性・実用性を重視したコンテンツをお届けします。(厚生労働大臣許可番号:人材紹介 13-ユ-040475)

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