マーケターになるにはどうすればよい?求められるスキルも解説

(2026年08月07日掲載)
マーケターの仕事は、市場環境や顧客ニーズを分析し、商品・サービスが選ばれる仕組みを構築したうえで、施策の成果を検証し、継続的な改善につなげる役割を担います。マーケターを目指す代表的な方法としては、広告代理店やマーケティング支援会社への転職、現職の会社での社内異動、隣接職種からの転身、といった選択肢があります。自分の経験に近い入り口を選び、実務経験を積みながら専門性を広げる進み方が近道です。
当記事では、マーケターを目指す代表的なキャリアルートをはじめ、主な職種、求められるスキル、転職のためにできる準備をまとめて解説します。マーケティング職への転職を考えている人はぜひお役立てください。
1. マーケターになるための代表的なルート
マーケターになるための入り口は、代表的なものとして、広告代理店やマーケティング支援会社への転職、今の会社でのマーケティング部門への異動、隣接職種の経験を生かした事業会社への転職という3つが挙げられます。ルートごとに、身につく経験の幅と応募までに必要な準備は別物です。
ここでは、3つのルートについて詳しく解説します。
1-1. 広告代理店・マーケティング支援会社に転職する
広告代理店やマーケティング支援会社は、マーケティングに関わるポジションが多く、実務経験を早く積むことができます。クライアントの課題解決を事業にしているため、施策の担当者として現場に立つ機会も多いのが特徴です。特にマーケティング支援会社では、複数のクライアントを並行して担当します。業界も商材も違う案件に短期間で触れられるため、成果の出た施策の型をほかの案件へ展開する感覚が早い段階で身につく点は、支援会社ならではの強みです。担当を並行して進めるうちに、進行管理や優先順位づけの力も鍛えられます。
施策ごとにチームが分かれている会社なら、広告運用やSEOなど狙った領域での経験を集中的に積み重ねられます。アシスタントや運用担当として入社し、数値改善の実績を重ねてから企画や戦略の立案へ役割を広げる方法もあります。
こうした企業に応募する際は、扱う業界と担当できる施策の範囲を求人票で確認し、入社後の経験の積み方を描いておくとよいでしょう。
1-2. 今の会社でマーケティング部門へ異動する
勤務先にマーケティング部門があるなら、社内異動をすることで大きく環境を変えずにマーケターとして働けます。転職と違い、これまでの評価と社内の人間関係を土台にしたまま、新しい職種へ挑戦できるのがメリットです。異動の希望は、社内公募制度や自己申告制度、上長との面談を通じて伝えます。制度の有無や募集の時期は会社ごとに違うため、まず人事担当者に確認・相談しましょう。
社内異動の強みは、自社商品と顧客、意思決定の流れをすでに理解しているため、商品知識の習得に時間を割かずに済むことです。部署移動の希望を伝える際は、担当業務で扱った数字の分析や販促物の改善提案など、マーケティングに近い取り組みを具体的に示すとよいでしょう。
1-3. 隣接職種の経験を生かして事業会社のマーケ職に転職する
営業や販促、制作、Web運用の経験があるなら、その経験が生きる事業会社のマーケティング職を選ぶと、職種としては未経験でも評価されやすくなります。マーケティングは顧客理解が出発点にあり、顧客と接してきた経験がそのまま施策の材料になるためです。たとえば法人営業の経験は、顧客の検討プロセスへの理解度がBtoBマーケティングの分野で生かせます。また、Web制作やサイト運用の経験があると、数値改善を担うWebマーケティングで役立つでしょう。
同じ業界の中で職種を変える形なら、商材知識と業界の商習慣をそのまま持ち込める点が強みです。異業種へ移る場合も、担当していた顧客層や扱った商材の価格帯が近ければ、経験の重なる部分を志望動機として説明できます。
2. マーケターにはどのような種類がある?
ひとくちにマーケターといっても、扱う領域によって日々の仕事は大きく変わります。ここでは、Webマーケター、SNSマーケター、コンテンツマーケター、事業会社の商品・ブランドマーケターという4つのタイプを取り上げ、それぞれが担う領域と主な業務を解説します。
2-1. Webマーケター
Webマーケターは、自社サイトやWeb広告を通じて、オンラインでの集客と売り上げを伸ばす職種です。検索エンジンからの流入を増やすSEO、検索連動型広告やSNS広告の運用、アクセス解析にもとづくサイト改善が主な業務になります。日々の仕事では、流入数、問い合わせ件数、1件あたりの獲得単価といった指標を追いかけます。数字が毎日更新されるため、打った施策の効果を短い周期で確かめられる点が特徴です。
Web制作やサイト運用の経験があると、ページの構成や表示速度、フォームの入力項目など、成果を左右する要素を具体的に想像できるため有利に働くケースがあります。ただし、Webマーケティングという言葉が指す領域は非常に幅広く、担当業務は企業・求人によってさまざまです。応募前にメイン業務をきちんと確かめておくと、入社後のギャップを防げます。
2-2. SNSマーケター
SNSマーケターは、SNSアカウントの運用と発信を通じて、認知とファンを増やす職種です。投稿の企画と制作、コメントやメッセージへの対応、広告配信、インフルエンサーとの取り組みなどを担当します。XやInstagram、TikTokなど、媒体ごとに利用者層・好まれる表現は異なります。媒体の特性に合わせて発信内容を変え、保存数やクリック数といった反応を見ながら投稿の型を磨き、成果につなげる仕事です。
未経験の場合、日頃からSNSで発信している経験は、選考で評価される材料になる可能性があります。フォロワー数の推移や反応が伸びた投稿を挙げられれば、施策を考える力の裏づけになるでしょう。ただし、企業アカウントは個人の発信と目的が異なるため、売り上げや来店につなげる視点を持てるかどうかも選考ではチェックされます。
2-3. コンテンツマーケター
コンテンツマーケターは、記事や動画、資料などのコンテンツで見込み客を集め、問い合わせや購入までナーチャリングする(育てる)職種です。読者の検索意図に沿った企画、原稿の編集、公開後の効果測定を担当します。扱うコンテンツはWeb記事や導入事例のほか、比較資料、メールマガジン、ホワイトペーパーと呼ばれる資料など、検討段階に応じた形式を使い分けます。読み手が知りたい段階を見極めて形式を選ぶ判断が、成果を分ける部分です。
編集やライティング、制作の経験は、企画と品質管理の場面で生きます。外部のライターやデザイナーへ依頼する機会も多く、制作物の良し悪しを判断できる力が役に立つ職種です。成果が表れるまでに数カ月かかる領域のため、公開後も数字を追って改善を重ねる姿勢が求められます。
2-4. 事業会社の商品・ブランドマーケター
事業会社の商品・ブランドマーケターは、自社商品の企画から販促まで一貫して担い、売れる仕組みをつくる職種です。市場調査、商品コンセプトの設計、価格や流通の検討、広告や店頭施策の実行までが担当範囲になります。社内の関係者と進める場面が多い点も特徴的で、開発部門と仕様を詰める、営業部門と販売計画を共有する、広告会社と販促の座組みを固めるなど、部門をまたいだ調整が日常的に発生します。
営業や販促、商品企画の経験があれば、顧客の反応を知る立場から施策を設計できるでしょう。売り場や商談の現場に対する感度は、机上の調査だけでは得られません。担当する商品を長く育てる役割を担うため、数カ月から数年の単位で計画を描く仕事に魅力を感じる人に向いています。
3. マーケターに求められるスキル
マーケターの仕事は、調査、設計、実行、改善という流れの繰り返しであり、それぞれの工程で必要になるのが、分析力、企画・実行力、情報収集力、コミュニケーション力の4つです。いずれも生まれ持った素質ではなく、学習と実務を通じて後から身につけられる技能です。ここでは、各スキルがどのようにマーケターの仕事に必要になるのかを解説します。
3-1. データを読み解いて課題を見つける分析力
分析力は、アクセス数や売り上げなどのデータを読み解き、課題のありかを見つけるスキルです。マーケティングの施策は現状を正しくつかむところから始まるため、最初に鍛えたい力になります。たとえば問い合わせ件数が減少した場合。原因がどこにあるのか仮説を立て、流入経路ごと、ページごと、端末ごと、などとさまざまな切り口で数字の変化を確認すると、ユーザー行動の変化が浮かび上がることがあります。
必要なのは高度な統計知識ではなく、数字から仮説を立て、次の施策で確かめる習慣です。担当している売り上げや問い合わせのデータを月ごとに比べるところから分析力を磨きましょう。
3-2. 施策を組み立てて動かす企画・実行力
企画・実行力は、見つけた課題の解決策を具体的な施策に組み立て、関係者を動かして実行まで進めるスキルです。アイデアを出す段階で終わらせず、形にして成果を確かめるところまでがマーケターには求められます。施策を動かすには、目的と目標数値の設定、予算とスケジュールの配分、担当の割り振りが必要です。制作会社や広告媒体への依頼、公開後の効果測定の設計まで含めた企画を行いましょう。
こうした施策の設計~実行の経験は、営業資料のつくり替えや展示会の企画運営など、自分だけでは完結できない業務で積むことが可能です。施策の規模より、狙いを立てて周囲を巻き込み、結果を振り返った流れを説明できるかどうかが評価されるポイントです。
3-3. 世の中の動きを追う情報収集力
情報収集力は、生活者の関心や新しい手法の移り変わりに対してアンテナを張り、最新の情報を追い続けるスキルです。有効な施策は数年で入れ替わるため、情報の鮮度が企画の質を左右します。同じ広告表現でも、数年前と現在では受け取られ方が変わります。見るべき対象は、業界ニュース、SNSで話題になっている表現、競合の施策、自社に届く問い合わせの内容などです。毎朝10分でも決まった情報源を確認する習慣をつくると、材料が蓄積されて企画の引き出しになります。
集めた情報は、そのままにせず自分の言葉でメモに残すと使える形になります。気になった広告や投稿は、狙いと仕組みの観点で分解して書き留めておくと役立ちます。また、業界誌やマーケティング関連のセミナーも、実務で使われている手法を知る手がかりになるでしょう。
3-4. 関係者を巻き込むコミュニケーション力
コミュニケーション力は、営業や制作、外部パートナーなど多くの関係者を巻き込み、施策を前へ進めるスキルです。マーケティングの施策は1人で完結せず、他部署の協力があって初めて動きます。必要なのは話のうまさではなく、施策の目的と期待する成果を数字と根拠で説明し、相手の立場から見た利点を示して合意をつくる進め方です。反対意見が出た場面で、相手の懸念を先に整理してから代案を示すといった運び方も、合意を形成するために不可欠なスキルです。
営業で培った折衝の経験や、制作現場での依頼と調整の経験は、そのまま強みとして生かせるでしょう。
4. マーケターを目指すには何から始める?
未経験からマーケターを目指すのは狭き門ですが、未経験歓迎の募集は少ないながら存在します。そのポジションを目指すステップとして、実務以外でマーケティングの経験を積むことでプラスの評価を受けられる企業はあります。主にできることは、マーケティングの基礎知識を学ぶ、SNSやブログで実際に手を動かす、取り組みをポートフォリオにまとめるという3つです。知識だけでも実践だけでも評価にはつながりにくいので、学んだ内容を試し、結果を見せられる形に整えましょう。
4-1. マーケティングの基礎知識を学ぶ
最初の一歩は、書籍やオンライン講座でマーケティングの全体像と基本的な考え方を学ぶことです。用語と枠組みを押さえておくと、求人票の業務内容や面接での質問を正しく理解できます。押さえたい基礎は、製品・価格・流通・販促の4要素で施策を整理する4P、狙う顧客層を絞り込むターゲティング、顧客が認知から購入に至るまでの道筋を描くカスタマージャーニーなどです。まずは全体像を扱う入門書を1冊読み、その後に目指す職種の領域へ広げる流れで学ぶとよいでしょう。Webマーケティングを目指すなら広告運用やアクセス解析、コンテンツ領域なら企画と編集について知識を深めていくのがおすすめです。
4-2. SNSやブログで実際に手を動かす
学んだ知識は、自分のSNSアカウントやブログを運用して試すと定着します。発信して数字を見て改善することは、実務の練習にもなります。まずはテーマと目標を決めて発信し、閲覧数や反応を確認して次の投稿に反映することを繰り返しましょう。ブログであれば無料のアクセス解析ツールを導入し、どの記事が読まれ、どこで離脱しているかを確認します。投稿の本数より、狙いを決めて結果を確かめた回数が経験として残ります。
評価されるのは成果の大小より、仮説を立てて検証した過程です。投稿の時間帯を変えて反応を比べた、見出しの付け方を変えて閲覧数が伸びたなど、意図と結果をセットで説明できる状態を目指します。3カ月ほど続けると、選考で話せる材料がそろうでしょう。
4-3. ポートフォリオをまとめて応募につなげる
学習と実践で得た成果は、ポートフォリオにまとめておくと応募先へ取り組みを示せます。実務経験が浅い段階の応募では、考え方と行動が伝わる材料が評価につながります。まとめる項目は、取り組んだ目的、実施した施策、数値の変化、そこから得た学びの4点です。運用したSNSアカウントやブログのURL、作成した投稿や記事の例を添えると、採用担当者が中身を確認できます。数字は伸び率と実数の両方を書くと実態が伝わります。閲覧数が2倍と書くだけより、月間100件から200件へ増えたと添えるほうが規模まで正しく伝わります。
まとめ
マーケターになるための主な入り口には、広告代理店・マーケティング支援会社への転職、今の会社での社内異動、隣接職種の経験を生かした転職といったルートに整理できます。マーケター職にはWeb、SNS、コンテンツ、商品・ブランドと領域の違うタイプがあり、目指す先を決めておくと学ぶ範囲を絞り込めます。
求められるのは、分析力、企画・実行力、情報収集力、コミュニケーション力の4つで、未経験から目指す場合には、基礎知識を学びつつ、SNSやブログで実際に経験を積みながら取り組みをポートフォリオにまとめる形で準備を進めましょう。資格は必須ではないものの、学ぶ範囲を決める指針として、また学習の意欲を示す材料として役立ちます。
まずは今の職種で培った経験を書き出し、マーケティングのどの領域につながるかを整理するところから始めることが大切です。営業で得た顧客理解も、制作で培った表現力も、マーケティングの現場で生きる材料となります。
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