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クライアントが志を実現するまで見届ける─株式会社パラドックス

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ブランディングエージェンシーのパラドックスは、「志の実現に貢献する。」をミッションとして掲げています。創業者で代表取締役の鈴木猛之さんと人事・採用を担当するコーポレートディレクターの森本綾さんに、創業から現在までの会社の変遷と同社のブランディングディレクターの仕事内容、これから会社が目指す姿についてお伺いしました。(マスメディアン編集部)

――まずは鈴木さんのご経歴について、キャリアの始まりから、教えてください。
鈴木:大学時代は電子情報工学を専攻していました。同じ学科からはメーカーやインフラ業界に就職する人が多かったですね。私も会社見学には行きましたが、自分はもっと情緒的なものがつくりたいと感じていました。
 
そこで出会ったのがリクルート。広告年鑑を見せてもらって、同じ理系出身の広告ディレクターが面白い企画をしていると知りました。社員の皆さんが自分の意志を自分の言葉で語って、しっかりコミュニケーションを取ってくれたのも魅力的で、入社を決めました。
 
総合職採用でしたが、希望通り制作職に配属になり、それから9年間、求人広告の制作を行いました。リクルートって制作職も競争社会で、毎月の社内広告コンテストで上位に入りポイントを稼ぐと、より大きい仕事ができるようになるんですね。そのコンテストで毎年、上位に名を連ねたことで、在籍期間の後半はずっとナショナルクライアント専門のチームへの配属でした。

――リクルートで活躍されていたのですね! そこから独立を選ばれたきっかけは何だったのでしょうか?
鈴木:大手企業の求人広告って、クリエイティブの力がどこまで結果に貢献したのか見えづらいんです。極端なことを言うと、「○○株式会社が正社員募集中!」とさえ書けば、応募は集まりますから。
 
一方で、知名度が低くても世の中を良くしていきたいという企業はたくさんあります。そういう企業の志を伝える求人広告をつくり、共感してくれた人から応募を獲得できたら、クリエイティブの力で価値貢献したんだって胸を張れる。社会的意義も大きいと思ったんです。
 
そこで会社に許可を取り、志ある中小企業も担当していました。そういった企業は社長が採用に関与していることが多くあります。やりとりをするうちに私のクリエイティブを気に入って、「鈴木さんにロゴをつくってほしい」「新規ブランドのネーミングも依頼したい」など、求人広告以外の制作物のご相談もいただくようになりました。
 
私はぜひお引き受けしたかったのですが、リクルートでは事業ドメインが違うため難しかったんです。そこで2001年に、一緒に仕事をしていたコピーライターと一緒に独立しました。
 
――独立当時は、求人広告のお仕事が多かったのでしょうか。ブランディング事業が事業の中心になるまでの経緯を教えてください。
鈴木:半分はリクルートを通しての求人広告の制作。もう半分は、同じクライアントから求人広告以外のクリエイティブ制作の依頼を直接受けていました。
 
転機になったのは2009年のリーマンショックでした。各社が採用を一斉にストップしたため、当社への発注もほぼなくなってしまいました。会社を存続させるため、新規でコンペに参加するなど、手探りの日々でした。
 
そんなとき、お付き合いのあるクライアントから、「クレドをつくってほしい」と依頼を受けたんです。クレドとは、企業活動における行動指針のこと。その制作は私たちにとって初めてのご依頼でしたが、社長にヒアリングし、社員の皆さんとセッションをしながらつくり上げました。
 
悩んだのがプライシングです。当時、コピーライティングは数十万円程度でお引き受けすることが多かったんですが、用途も制作フローも違うから、請求金額の桁を1つ増やしたんです。高すぎるかもしれない……、と恐る恐るご提案したのですが、先方の反応は「安すぎる」でした。「このクレドが社内に浸透すれば、社員のスキルとモチベーションが上がる。売り上げも上がって、長い目で見れば、利益が1億円単位で変わる可能性がある。私が営業だったら3000万で売る。それぐらい価値があるものだよ」と言われたんです。
 
これは大きなヒントをもらったなと思いました。私たちの取材力やクリエイティブ力で企業の経営に大きく貢献できるし、私たちのクリエイティブの価値も大きくなるとわかりました。
 
そこから、ミッション・ビジョン・バリュー(以下、MVV)の策定など、企業ブランディングを事業の柱に据えることにしました。企業ブランディングのサービスメニューをパッケージ化し、トップアプローチに専念。求人広告の新規営業もやめてしまいましたが、社長と直接やりとりをするようになったことで、かえって営業効率は向上しました。その体制は現在まで続いており、直近では、大企業から中小企業まで年間で40社ほどの理念構築をお引き受けしています。

――現在はすべてクライアントから直接、仕事を受けているとお聞きしました。
森本:新規案件の獲得経路は、当社Webサイトからのお問い合わせか、既存顧客さまからのご紹介ですね。そのため社内には営業職の社員はおらず、クライアント対応をする社員は全員が「ブランディングディレクター」という肩書で、プロデューサー兼ディレクターのような役割です。バックグラウンドはさまざまで、もともとコピーライターやデザイナーをしていた社員もいれば、大手企業で広報をしていた社員もいます。

──ブランディングディレクターの仕事について、詳しく教えてください。
森本:仕事自体はシンプルです。お問い合わせを受けたらプロジェクトチームを組み、状況や要望をヒアリングします。よくあるのが、社長が交代するタイミングで会社の考え方を整理したい、といったご相談ですね。採用パンフレットの依頼などもいただきますが、よくよくお話を聞いていくうちに、企業ブランディングもお引き受けする流れになることが多いです。受注したら、必要なアウトプットを制作、納品します。
 
鈴木:その際には、社内外のリソースを自由に使ってもらいます。年間の粗利金額が定量目標になっているので、それと相談しながらになりますね。どこにどのくらいお金をかけるのか、コピーは自分で書くのか、そういったことも自由に決められます。
 
──制作の詳しい流れはどんなものですか?
鈴木:MVVを構築するときには、クライアント企業の皆さまに言葉づくりに参加してもらいます。実際、役員の皆さまをチームに分けて、コピーを書いてプレゼンもしていただくんですよ。パラドックスは、クリエイティブディレクターのような立ち回りをします。言葉とクリエイティブのプロとして、クオリティを上げ、課題を見つけて次のステップにつないでいく。そうやって、言葉の大切さを理解いただくのも大切な役割です。
 
――制作の仕事に携わる方からは、「自分が制作した広告が、どういう効果を生んだのか結果がわからない」という悩みも多く聞きます。
森本:理念構築の仕事では、そういう悩みはないと思います。つくったものが10年単位で生き続けますから。クライアントとのお付き合いも長くなります。当社ではクライアントの担当替えもしません。プロジェクトチームはベテラン・中堅・若手の3人体制を取るのですが、時間の経過とともに、担当者が若手から中堅へ、中堅からベテランへと徐々に成長していきます。
 
鈴木:ブランディングは、目先の利益を追うものではないので、多くの企業では「緊急ではないが重要」という領域だと思います。でも役員の皆さんはいつも「緊急かつ重要」な仕事に追われています。だから、クライアントが志を実現するまで私たちが伴走するのがすごく大事なんですよ。パラドックスの社員たちは皆、「一生、このクライアントに付き合っていく」という覚悟で仕事をしています。
 
──現在、ブランディングディレクターを募集されています。求める人物像を教えてください。
鈴木:パラドックスは性善説経営です。採用した以上は信用して仕事を任せます。だからこそ採用では、しっかりと「その人」を見ます。特に、社会に対して成し遂げたい志がある方を採用したいと思っています。
 
森本:そういう意志を持った方って、「変わったやつ」扱いされている人かもしれません。「もっとこうした方が、お客さまは喜ぶのに」と社内でぶつかったり、もどかしく思ったりしていると思います。そういう方をたくさん採用してきましたが、パラドックスに来てからは水を得た魚のように楽しそうに働いています。
 
――今後は、会社をどう成長させていきたいですか?
鈴木:パラドックスの理念は「志あふれる、日本をつくる。」です。そのためにブランディング事業に加え、多くの新規事業を立ち上げています。
 
志とは、自分にしかできない形で世の中の役に立ちたいと思うこと。パラドックスや、私たちが支援している企業の経営者はそれをとても大事にしています。そういう人を1人でも増やしていきたい。そのために、企業の社会的価値を明文化し、自分ごと化するまでを支援するブランディング事業をしています。
 
また、個人にアプローチするために、新規事業としてアート教室を立ち上げました。子ども向けの教室で、教えているのは自分のつくりたいものを形にすること。小さな自己実現を繰り返すことで、自分らしさを大事にできる人に育っていってほしいと思っています。業態はまったく違いますが、目的はブランディング事業と同じ、志を持つ人を増やすことです。
 
いまの世の中、誹謗中傷や人を傷つける発言があふれています。人をこき下ろして、悪口を言うことでアクセス数を稼ぐビジネスまでありますが、明るい未来のことを語る方がいいですよね。そんな社会を実現するために、自分の目指したい未来を語れる人を増やせる会社になりたいと思います。
 
――自分のクリエイティブ力で、何かを成し遂げたいという方には素晴らしい環境が整っていますね。社会貢献性が高く、やりがいを持って働ける職場だと思いました。本日は貴重なお話をありがとうございました!
 
※2022年9月に取材した内容を掲載しています。

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