広告会社の営業から事業会社のマーケティング職へ転職できる? 評価される経験や転職難易度を解説

(2026年09月29日掲載)
広告会社の営業から、事業会社のマーケティング職へ転職したい。そう考えたとき、最初に気になるのは「自分の経験で転職できるのか」ではないでしょうか。
結論から言えば、転職できる可能性はあります。ただし、「広告会社で営業をしてきた」「クライアントのマーケティング支援に関わってきた」という事実だけで、転職できる・できないを判断することはできません。
マスメディアンでは、主に「広告会社で実際に何を経験してきたか」「希望する求人が何を求めているか」「その経験を求める求人が今あるか」という3つの視点から転職の可能性を考えています。つまり、自分の経験 × 求人との親和性 × 採用のタイミングです。
同じ広告営業でも、戦略やプランニングまで深く関わってきた人と、営業窓口や進行管理を中心に担ってきた人では、企業からの見え方が違います。また、同じ経験でも、企業によって評価されるポイントは異なります。
この記事では、広告会社の営業から事業会社のマーケティング職への転職について、評価される経験や転職難易度、企業・求人による評価の違い、転職可能性を判断するポイントなどを、実際の転職支援経験をもとに整理します。
この記事のポイント
- 広告営業からの転職可能性: 事業会社のマーケティング職へ転職できる可能性は、担当してきた業務と求人が求める経験、募集のタイミングによって変わる
- マーケティング求人の選び方: デジタル、販促、ブランドなど担当領域は企業ごとに異なるため、職種名より仕事内容を確認する
- 広告営業経験の評価: 戦略立案やプランニング、施策の実行・改善など、実際に関わった範囲を求人の要件と照らし合わせる
- 転職難易度が上がるケース: 商品開発や価格設定などの経験を求める求人では、プロモーション中心の営業経験との間に差が生じやすい
- 希望求人に経験が足りない場合: 経験を活かせる求人を探すか、現職や次の職場で不足する経験を積む道を考える
広告会社の営業から事業会社のマーケティング職へ転職できる?
「事業会社のマーケティング職」は、会社によって仕事内容がかなり違う
転職相談で最初に確認するのは、「事業会社でマーケティングをしたい」という希望の中身です。同じ「マーケティング職」という名称でも、実際の仕事内容は企業によって大きく異なるからです。
デジタルマーケティングを中心に担う求人もあれば、販促、CRM、ブランド、メディア、プロモーションなどを担当する求人もあります。メーカー系の求人のなかには、商品開発への関与やP/L(損益計算書)への理解を求められるケースもあります。マーケティング求人を見るときに大切なのは、「マーケティング」という職種名だけで判断するのではなく、実際にどこまでの役割を担うポジションなのかを確認することです。
そのため、転職の可能性を考える第一歩は、「事業会社のマーケティング職に行けるか」ではなく、「自分が希望しているマーケティング求人では、具体的に何をするのか」を確認することです。
仕事内容が分かれば、そこから初めて、自分の経験との距離を考えることができます。
広告会社の営業経験のうち、何が評価材料になる?
今の経験と近い求人から考えると、転職可能性は見えやすい
広告営業から事業会社のマーケティング職を目指す場合、まずは現在の経験と仕事内容が近い求人から考えると、転職の可能性を整理しやすくなります。
大切なのは、「デジタルマーケティングなら入りやすい」と、一律に考えないことです。ご自身の経験に何があり、それを企業側が求めているかを照らし合わせながら求人との接点を見つけていくことが基本です。
例えば、デジタル領域に深く関わってきたのであれば、デジタルマーケティングに近い求人との接点を探せます。キャンペーンやイベントなどのプロモーション経験が豊富であれば、販促・プロモーションに近い仕事が候補になることがあります。メディアプランニングまで担当してきたのであれば、メディアやコミュニケーション設計を担う求人との親和性を確認できます。また、広告会社の営業として、多くの社内外の関係者を取りまとめながら案件を進めてきた経験があれば、プロジェクトマネジメント力を求める求人との接点になる場合もあります。
確認すべきなのは職種名ではなく、「今の経験をどの求人なら活かせるか」です。
広告会社から事業会社への転職難易度が上がるのはどんな場合?
今の経験と、求人が求める経験との距離が大きい場合は、転職の難易度が上がる傾向があります。例えば、求人によっては、事業会社でマーケティングを担当した経験そのものを求める場合があります。メーカーの求人などでは、商品開発への関与やP/L(損益計算書)への理解が必須条件に入っているケースもあります。
こうした求人の背景には、マーケティングを「商品・サービス(Product)」「価格(Price)」「流通・場所(Place)」「プロモーション(Promotion)」という4P全体で捉える考え方があります。広告会社での営業経験は、担当する業務によって異なりますが、4Pのうちプロモーション領域との接点が中心となるケースが多く、そのため、商品開発や価格設定、流通まで踏み込んだ経験を求める求人に対しては、経験のギャップが生じやすくなります。
一方で、それは「広告会社出身だから難しい」という意味ではありません。
同じ広告会社の営業でも、戦略立案やプランニング、施策実行、改善まで深く関わっている方もいます。仕事内容によっては、広告会社で培ったプロジェクトマネジメント力や顧客理解、関係者調整などとの接点が見つかることもあります。
そのため、「自分にはマーケティング経験があるか、ないか」という二択ではなく、「希望する求人が求めている経験のうち、今の自分はどこまで持っているか」で考えたほうが、転職の可能性を判断しやすくなります。
自分は転職できそう? 3つの判断軸
ここまでを踏まえると、広告会社の営業から事業会社のマーケティング職への転職可能性は、次の3つで考えることができます。
1.自分の経験と求人の仕事内容は、どれくらい重なっているか
まず、自分が広告会社の営業として経験してきたことを分解します。戦略、プランニング、プロジェクトマネジメント、施策実行、分析、改善、商材、顧客など、求人との接点になりそうな経験を確認します。そのうえで、求人の仕事内容と比較します。接点が多いほど、これまでの経験を活かせる可能性は高くなります。2.その企業は何を優先しているか
同じ経験でも、企業によって受け止め方は異なります。企業側の採用ニーズを聞いていても、重視するポイントは企業によってさまざまです。同業界での経験を重視する企業もあれば、BtoB・BtoCといった顧客構造、扱ってきた商材、経験した施策との親和性を見る企業もあります。広告会社での経験そのものについても、受け止め方は一律ではありません。ある企業では、「事業会社でマーケティングを担当した経験がないこと」が懸念になる場合があります。一方で、複数のクライアントや商材を担当してきた広告会社出身者について、「さまざまな打ち手を知っている」と評価する企業もあります。
つまり、自分の強みが決まれば、それだけで転職可能性が分かるわけではありません。自分の経験を整理すると同時に、その企業が何を評価し、何を懸念しているのかを確認する必要があります。
3.その経験を求める求人が、今あるか
事業会社のマーケティング職は、欠員補充や新しい部署・事業の立ち上げなどを背景に募集されるケースがあります。そのため、その時々で求められる人材像が変わります。例えば、ある時点では即戦力となる事業会社経験者を求めていても、別のタイミングでは隣接領域まで候補を広げることがあります。また、一度採用が決まると、同じようなポジションがしばらく募集されないケースもあります。
転職支援をしていても、「この方の経験なら合いそうだが、今は該当する求人がない」ということはあります。反対に、以前なら応募できなかった求人でも、採用の背景が変われば候補になることがあります。
つまり、一社からお見送りになったからといって、「自分には事業会社のマーケティング職へ転職するだけの経験がない」と判断する必要はありません。転職の可能性は、経験だけでなく、求人と採用のタイミングによっても変わります。
実際の転職支援で見えてきた、転職が進みやすいケース・苦戦するケース
これまでの支援事例のなかでは、転職活動がうまく進んだ方には、自分の経験を客観的に整理し、応募先でどう活かせるかまで考えている傾向が見られます。単に「広告会社で営業をしてきました」「この施策を担当しました」ということではなく、これまでの経験を、次の会社でどう活かせるのかまで考えられている方です。実際に転職が決まった方の中には、入社後にどのような貢献ができるのかを具体的に考えていたケースがあります。
一方、希望条件を絞ることで応募できる求人が限られ、結果として転職活動が長期化するケースもあります。自分の経験やスキルを客観的に捉えられていない場合も、企業との接点を見つけにくくなります。
大切なのは、「どの会社へ行きたいか」だけではなく、「自分のどの経験が、どの求人とつながるのか」という視点を持つことです。
事業会社へ転職すると年収は上がる?
広告会社の営業から事業会社のマーケティング職へ転職したからといって、年収が上がるとは一概に言えません。年収は、現在の年収だけでなく、応募先の給与水準や、これまでの経験がその求人でどの程度評価されるかによって変わります。特に、これまで経験していない領域への転職では、現在の年収をそのまま基準にできるとは限りません。
そのため、年収だけではなく、今回の転職でどのような経験を得たいのか、その経験がその先のキャリアにどうつながるのかまで含めて考えることが大切です。
今の経験では希望求人に届かない場合、どうすればいい?
希望する求人と、現在の経験との距離が大きい場合でも、選択肢がなくなるわけではありません。一つは、今持っている経験との距離が近い求人から考える方法です。例えば、デジタル領域の経験を活かしてデジタルマーケティング寄りの仕事へ移る。販促経験を活かしてプロモーション寄りの仕事へ移る。プランニング経験を活かして企画要素の強いポジションを探す、といった考え方です。
もう一つは、今の会社で必要な経験を増やす方法です。関連部署への異動だけでなく、日々の営業活動の中でも、プランニング部門と連携して戦略を考えたり、提案の範囲を広げたりすることで、次のキャリアにつながる経験を積むことができます。
また、今の経験を活かせる環境へ一度移り、そこで必要な経験を積んだうえで、その先の希望ポジションを目指すという考え方もあります。
大切なのは、一度の転職ですべてを実現しようとしなくてもよいということです。今の経験では希望求人に届かないのであれば、「転職できない」で終わらせるのではなく、何の経験が足りないのか、その経験をどこで積めるのかまで考えてみてください。
転職先を選ぶことは、その後のキャリアでどんな経験を積んでいくかを選ぶことでもあります。だからこそ、「今、希望する企業に転職できるか」だけでなく、「なりたいマーケターに近づくために、次にどんな経験を取りにいくか」という視点でキャリアを考えることが大切です。
今転職するべき? もう少し広告会社で経験を積むべき?
今転職するべきかどうかも、希望する求人との距離から考えることができます。希望する仕事と、自分がすでに経験していることの重なりが大きい場合は、実際の求人を見ながら転職を検討できます。一方で、希望する求人が戦略立案やプランニング、特定の専門スキルなどを求めていて、それを今の会社で経験できる可能性があるのであれば、現職で経験を増やすことも選択肢の一つです。
また、「事業会社に行きたい」という思いはあるものの、具体的に何をしたいのかがまだ決まっていない場合も、急いで転職先を決める必要はありません。まず考えたいのは、どんなマーケターになりたいのか。そして、そのために必要な経験は何か、ということです。
転職は、その経験を取りにいくための手段の一つです。今の会社で積める経験なのか、それとも転職して初めて積める経験なのかを見極めることが、次の一歩を決める判断材料になります。
「事業会社へ転職すること」をゴールにしない
広告会社から事業会社へ転職すると、一つの商品やブランド、事業に中長期で関わる経験を得られる可能性があります。「いろいろなクライアントを支援するより、一つの商品を長く育てたい」という方には、魅力的な環境かもしれません。一方で、企業やポジションによっては、担当する商材や業界が限定されたり、経験できる施策の幅が狭くなったりする可能性もあります。また、社内の複数部門と仕事を進めるため、社内調整の比重が大きくなるケースもあります。
つまり、「広告会社より事業会社のほうがよい」とは一概に言えません。大切なのは、自分が次に何を経験したいのかです。事業会社へ行くこと自体ではなく、「一つの商品を育てたい」「事業成果まで見たい」「デジタル領域の専門性を高めたい」「戦略を考える経験を増やしたい」など、転職後に得たい経験まで具体化してみてください。
広告会社の営業から事業会社のマーケティング職へ転職できるかを判断するポイント
ここまで見てきたように、広告会社の営業から事業会社のマーケティング職へ転職できるかどうかは、「広告営業経験があるか」だけでは判断できません。「自分の経験 × 求人との親和性 × 採用のタイミング」。この3つを合わせて考える必要があります。自分が何をしてきたかは、自分自身で整理できます。一方で、企業がその経験をどのように受け止めているのかは、求人票だけでは分からないこともあります。
マスメディアンでは、キャリアアドバイザー(求職者担当)がこれまでの経験や今後の希望を整理し、企業側を担当するリクルーティングアドバイザー(企業担当)が採用の背景や求める経験、評価のポイントなどを把握しようと努めています。その両方を照らし合わせながら、今の経験と求人との接点やギャップを考えています。
「今すぐ転職したい」という段階だけでなく、「自分の経験で事業会社のマーケティング職を目指せるのか」「希望する仕事に就くには、次に何を経験すればよいのか」を考えるところから、キャリアを整理することもできます。
広告会社の営業から事業会社のマーケティング職へ転職できるかどうかを考えるときに、本当に重要なのは「転職できる・できない」の二択ではありません。「今持っている経験を、次のキャリアにどうつなげるか」、そこから考えることが、転職先を判断するための第一歩です。
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