Webデザイナーの主な就職先は?経験を活かせる職場の選び方とキャリアを解説

(2026年09月11日掲載)
Webデザイナーが経験を活かしやすい就職先は、Web制作会社、事業会社、広告代理店、EC・メディア運営会社の4つです。同じ職種でも、担当するデザイン領域や制作体制、評価される実務経験は職場によって違います。どこを選ぶかでその後に伸ばせるスキルやキャリアの方向性も変わります。
当記事では、就職先ごとの働き方の違い、経験を活かせる職場を選ぶ際の視点、評価されやすい実務経験とポートフォリオでの伝え方、就職後に広がるキャリアを解説します。転職先を検討する際の判断材料としてお役立てください。
1. Webデザイナーの主な就職先
Webデザイナーが経験を活かしやすい就職先は、受託制作を担うWeb制作会社、自社サービスを運営する事業会社、広告施策を主導する広告代理店、ショッピングモールやメディア、プラットフォーマーなどのほか、直販サイトの運営委託を行うEC・メディア運営会社の4つが中心です。同じ職種でも、担当するデザイン領域や制作体制、評価される実務経験は職場ごとに異なります。ここでは、4つの就職先それぞれの業務範囲と、積める経験の違いを解説します。
1-1. Web制作会社
Web制作会社は、複数の業種のサイト制作を短いサイクルで経験できる職場です。コーポレートサイトやサービスサイト、キャンペーンサイトなど、案件ごとに目的もターゲットも変わり、表現の幅を広げやすい環境です。業務範囲は会社の規模によって変わります。少人数の制作会社なら、ワイヤーフレームの作成からデザイン、HTML/CSSの実装までを一人が通しで担当する体制が一般的です。分業が進んだ会社では、デザイン専任として品質を突き詰める働き方が中心になります。要件の異なる案件をまとめ上げた経験は、転職時に「対応力」「情報整理力」として説明しやすい実績になります。
1-2. 事業会社
事業会社は、自社サービスやコーポレートサイトのデザインを継続して担当する職場です。運用フェーズにも関わるため、公開した後の利用状況を踏まえた改善を重ねる進め方が中心になります。例えばサービスサイトや自社のECサイトを担当する場合の主な業務は、問い合わせフォームの離脱率やバナーのクリック率を踏まえた導線・訴求の見直しです。マーケティング担当やエンジニア、カスタマーサポートと同じ社内で連携するため、事業目標を踏まえてデザインを判断する機会が増えます。1つのサービスに長く関わりたい人に合った環境です。
1-3. 広告代理店
広告代理店は、キャンペーンやプロモーションの一環としてWebデザインを担当する職場です。テレビCMやSNS、交通広告と組み合わせた施策が多く、キャンペーン全体のトーンをそろえたクリエイティブが求められます。担当する制作物は、ランディングページやバナー、特設サイト、SNS用のクリエイティブなど幅広くあります。企画の段階から参加してコピーライターやプランナーと議論する場面もあり、表現の意図を言葉で説明する力が育つ環境です。短い期間で成果を判断する案件が多く、反応の良い表現を数値で振り返る習慣も身につきます。
1-4. EC・メディア運営会社
EC・メディア運営会社は、ショッピングモールやWebメディアを運営したり、ECサイトを委託され運営する企業であり、事業会社とは別の業態として扱われます。売り上げや閲覧数といった数値の変化をもとにデザインを判断する点が特徴です。商品ページや特集ページ、記事の一覧画面など、更新頻度の高い画面を継続的に担当します。ECサイトであれば、セール時期に合わせたバナーの差し替えやカート周りの導線改善、商品画像の見せ方の統一を短いサイクルで繰り返します。メディア運営会社での業務の中心は、記事の回遊率や広告の表示位置を踏まえたレイアウト設計や、PVやUUなどの数値をもとにした改善です。A/Bテストで反応を比べる進め方が定着した会社も多く、デザインの判断を数値で説明する経験を積めます。
2. Webデザイナーが経験を活かせる就職先を選ぶポイント
経験を活かせる職場を選ぶときは、担当できるデザイン領域、制作体制と業務範囲、伸ばしたいスキルを積める環境か、目指すキャリアにつながる仕事内容かの4つを確認します。求人票の職種名が同じでも実際の業務は会社ごとに違うため、選考の過程で具体的に聞いておくと入社後の見通しが立ちます。4つの就職先の違いを整理すると次の通りです。
| 就職先 | 主な担当領域 | 制作体制 | 成果の見え方 |
|---|---|---|---|
| Web制作会社 | 受託案件のサイト全般 | 案件単位でチームを編成 | 納品物の品質とクライアントの評価 |
| 事業会社 | 自社サービスの画面と導線 | 社内の関連部署と連携 | 継続的な利用状況の変化 |
| 広告代理店 | キャンペーンのクリエイティブ | 企画職と分業 | 施策期間中の反応 |
| EC・メディア運営会社 | 運営を受託したサービスの商品ページと記事ページ | 運営チームと分業 | 売り上げや閲覧数の推移 |
2-1. 担当できるデザイン領域を確認する
最初に確認したいのは、入社後に担当するデザイン領域の範囲です。同じWebデザイナーの求人でも、UI設計を中心に据える職場と、バナーや広告クリエイティブの制作が中心の職場では、日々の業務が大きく変わります。求人票の業務内容に加えて、直近1年でその部署が手がけた制作物や、デザイン以外に任される作業の割合まで確認しておくと判断しやすくなります。面接で配属予定のチームが進めている案件を具体的に聞くのも有効です。得意としてきた領域と重なる部分が多いほど、入社した直後から力を発揮できます。
2-2. 制作体制と業務範囲を確認する
制作体制は、任される業務範囲を左右する要素です。企画から実装まで少人数で担当する会社と、役割が明確に分かれた会社では、1つの案件で自分が関わる工程が変わるためです。確認しておきたいのは、チームの人数と役割分担、外部パートナーへ委託している工程、ディレクションを誰が担うかの3点です。実装まで担当する体制ならコーディングのスキルを継続して使え、分業が進んだ体制ではデザインの検討に時間を充てられます。どちらにも強みがあるため、自分が伸ばしたい工程に時間を使えるかを基準にするとミスマッチを防げます。
2-3. 伸ばしたいスキルを積める環境か確認する
次の職場では、これから伸ばしたいスキルを実務で使える環境かを確かめます。デザインツールの習熟度は独学でも高められる一方、案件を通じて得られる経験は業務内容に左右されるためです。UI設計を強化したい場合は、ユーザーテストの実施状況や、Figmaのコンポーネント運用の有無、プロトタイプ検証の頻度を確認します。データを踏まえた改善に関わりたい場合の判断材料は、Googleアナリティクスやヒートマップの数値をデザイナーが直接見られるか、A/Bテストの運用体制、KPI設定にデザイナーが関与するかです。研修制度に加えて、日々の業務でその工程に触れられるかまで聞いておくと確実です。
2-4. 目指すキャリアにつながる仕事内容か確認する
将来的に目指す姿から逆算して、仕事内容を確認しましょう。Webデザイナーの経験を土台にした進路には、専門性を深める道と領域を広げる道(UI/UXデザインへ広げる道やディレクションへ進む道)があり、必要になる経験もそれぞれ異なるためです。Webディレクターを目指すのであれば、進行管理やクライアントとの打ち合わせに関わる機会があるかを確認します。UI/UXデザインのスキルを深めたい場合は、ユーザー調査や検証の工程に参加できるかどうかがポイントです。社内での役割変更の実績や評価制度の基準まで聞いておくと、入社後の道筋を描きやすくなります。
3. Webデザイナーの就職で評価される実務経験
採用担当が知りたいのは、入社後にどのような業務を任せられるかです。そのため選考では、UI/UXを踏まえた設計、コーディングや実装、ディレクションやクライアント対応、マーケティングと連携した改善という4つの経験が、具体的な事実とあわせて確認されます。ここでは、それぞれの経験がどう評価につながるかを解説します。
3-1. UI/UXを踏まえた設計の経験
UI/UXを踏まえた設計の経験があると、デザインの判断に理由を持てる人材だと伝わりやすいです。作品の見た目そのものはポートフォリオで確認できるため、選考では、「なぜその配置や導線にしたのか」という根拠を説明できることが評価されます。例えば、「申し込みまでの手順を3画面から2画面へ整理した」「入力項目を見直して離脱の多い箇所を改善した」といった事実が、設計の意図を伝える材料です。ワイヤーフレームの作成、情報設計、プロトタイプでの検証など、担当した工程を具体的に挙げると、任せられる業務の範囲が伝わります。
3-2. コーディングや実装まで対応した経験
HTML/CSSやJavaScriptを使った実装の経験は、エンジニアとの連携がスムーズに進む根拠として評価されます。実装の制約を理解したデザインは手戻りを減らせるため、どちらの職場でも活かせる経験です。使用した言語やCMS、対応した端末の範囲、担当したページ数まで具体的に書くと、実務のレベルが伝わります。WordPressのテーマ改修やレスポンシブ対応、既存サイトの表示速度を改善した経験も、実装に活かせる強みです。デザインと実装の両方を通した経験は、少人数の制作体制で特に活かせます。
3-3. ディレクションやクライアント対応の経験
ディレクションやクライアント対応の経験は、制作を前に進める役割まで任せられる人材として評価されます。要件を整理して関係者の合意をつくる場面は制作の各工程にあり、経験のあるデザイナーはチームの調整役を担えるためです。打ち合わせでのヒアリング、要件の整理、スケジュールの管理、修正依頼の取りまとめなど、担当した業務を挙げると役割が伝わります。制作メンバーへの依頼や進行管理、後輩デザイナーの育成に関わった経験も評価につながる実績です。担当した案件の規模と関わった人数を添えると、経験の幅まで伝わります。
3-4. マーケティングと連携した改善の経験
マーケティングと連携した改善の経験があると、成果に責任を持てるデザイナーとして評価されるでしょう。デザインの効果を数値で振り返った経験は、事業会社やEC・メディア運営会社の選考で特に重視されます。「アクセス解析から仮説を立ててファーストビューの訴求を変えた」「フォームの項目を整理して申し込み完了までの離脱を減らした」といった取り組みが該当例です。マーケティング担当と目標を共有し、施策の結果を踏まえて次の改善へつなげた流れまで説明できると、事業への貢献の仕方が伝わります。
4. Webデザイナーがポートフォリオで実務実績を伝えるポイント
ポートフォリオと職務経歴書は、役割を分けて使うことで実績が正しく伝わります。職務経歴書で経験の全体像を示し、ポートフォリオでは個々の制作物について、担当範囲と自分の役割、制作の目的と課題、公開後の成果という3点を添えると、採用担当者が「どの業務を任せられるか」を判断しやすくなります。ここでは、それぞれの書き方を解説します。
4-1. 担当範囲と自分の役割を明記する
制作物ごとに、自分が担当した工程と役割を明記します。チームで制作したサイトは、どの部分を誰が担当したかが読み取れる状態にしておくと、実力を正しく評価してもらいやすくなります。そろえておきたい項目は、制作期間、チーム構成、担当範囲、使用ツールの4つです。共同で制作した画面は、自分が担当したページと分担した部分を分けて書きましょう。記載例は次の通りです。
・制作期間:2025年4月から6月
・チーム構成:ディレクター1名、デザイナー2名、エンジニア2名
・担当範囲:トップページと商品一覧ページのデザイン、ガイドラインの作成
・使用ツール:Figma、Photoshop
4-2. 制作の目的と課題を添える
制作物には、その仕事が始まった目的と、解決するべき課題を短く添えます。目的と課題が明確であれば、デザインの判断が的確だったかどうかを読み手が評価できます。書き方の手がかりは、依頼の背景、対象となるユーザー、達成したい状態、制約条件の4つです。たとえば採用サイトのリニューアルであれば、応募者数を増やすという目的、学生に業務内容が伝わりにくいという課題、既存の写真素材を使うという制約を並べると、限られた条件の中でどのように工夫したかまで伝わります。デザインの意図は1行から2行で簡潔に添えるのが読みやすいでしょう。
4-3. 公開後の成果や改善を示す
公開した後に何が変わったかを示すと、制作物の評価が具体的になります。数値で示せる成果があれば、実施した施策の内容とあわせて記載しましょう。たとえば、「資料請求ボタンの位置と文言を変更してクリック率を高めた」「記事の一覧の並びを見直して回遊するページ数を増やした」といった内容が具体例です。成果を数値で表しにくい制作物も多くあります。その場合は、「同じクライアントから継続して依頼を受けた」「社内のデザインガイドラインとして運用が続いている」といった事実ベースの評価材料を添えると、評価の裏づけになります。
5. Webデザイナーの経験を活かしたキャリアの広げ方
Webデザイナーの経験は、複数の方向へ広げられます。Webデザインの専門性を高める道、UI/UXデザインへ広げる道、Webディレクターとして制作全体に関わる道、アートディレクターとしてクリエイティブを統括する道などが挙げられます。ここでは、それぞれで求められる経験とキャリアの目指し方を解説します。
5-1. Webデザインの専門性を高める
専門性を高める進み方は、担当領域を深めて質で評価される立場を目指す道です。リードデザイナーやシニアデザイナーとして、デザインの方針決定や品質管理を担う役割が該当します。専門性を高めるには、扱う領域を定めた上で、判断の基準を言葉にできる状態が求められます。デザインシステムの構築やガイドラインの整備、レビューによる品質の統一といった業務が代表例です。自分の制作物の質に加えて、チーム全体の水準を引き上げた実績を積むと、待遇の面でも評価されやすくなります。
5-2. UI/UXデザインの領域へ広げる
UI/UXデザインの領域へ広げる進み方は、画面の設計に加えて、ユーザーの体験全体を設計する役割を担う道です。Webサイトの制作で培った情報設計の経験は、アプリやサービスのUI設計にそのまま活かせます。求められるのは、ユーザー調査やインタビュー、カスタマージャーニーの整理、プロトタイプによる検証、ユーザビリティテストといった工程の経験です。事業会社やSaaS企業では、UIデザイナーやUXデザイナーの職種が独立して置かれ、Webデザイナーの転職先として選ばれています。まずは現職で検証の工程に関わる機会をつくると、キャリアを広げやすくなります。
5-3. Webディレクターとして制作全体に関わる
Webディレクターは、制作の進行と品質に責任を持つ役割です。デザインの実務経験があるディレクターは、制作の工程を理解した指示を出せるため、チーム全体の手戻りを減らせます。担当する業務は、クライアントへのヒアリングや要件の整理、スケジュールと予算の管理、公開後の運用提案までと幅があります。デザイナーとして案件を進める中で、進行管理や打ち合わせに関わる機会を増やすことが近道です。制作会社と事業会社のどちらにも需要のある役割で、転職先の選択肢が広がります。
5-4. アートディレクターとしてクリエイティブを統括する
アートディレクターは、クリエイティブ全体の方向性を決めて統括する役割です。ビジュアルの表現方針を定め、デザイナーやカメラマン、コピーライターの制作物をまとめ上げます。求められるのは、コンセプトを言葉で説明する力と、複数の制作物のトーンをそろえる判断力です。広告代理店や制作会社では、Webに加えてグラフィックや動画を扱う案件も多く、媒体をまたいだ表現の統一が業務の中心になります。アートディレクターを目指すなら、キャンペーン単位でデザインの方針を決めた経験や、他職種のメンバーをまとめた経験を積み重ねましょう。
まとめ
Webデザイナーの主な就職先は、Web制作会社、事業会社、広告代理店、EC・メディア運営会社の4つです。経験を活かせる職場を選ぶには、担当できるデザイン領域、制作体制と業務範囲、伸ばせるスキル、目指すキャリアにつながる仕事内容を確認することが重要です。選考で評価につながるのは、UI/UXを踏まえた設計、実装、ディレクション、マーケティングと連携した改善といった実務経験です。ポートフォリオには、担当範囲と役割、制作の目的と課題、公開後の成果の3点を添えて、実績を具体的に伝えましょう。
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