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300年続く会社をつくるために。人材と事業を育て、「社会の果樹園」として成長する─株式会社ACROVE

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ACROVE(アクローブ)は、ECブランド売上最大化を図る販売支援とM&Aを通してブランド育成を行うECロールアップの2軸の事業で「EC・D2Cのプラットフォームカンパニー」として国内No.1を目指す企業です。創業者で代表取締役の荒井俊亮さんに、会社や事業の特徴や強み、人材育成に対する考え方、職場環境の配慮、そして同社が掲げる「社会の果樹園を創造する」というミッションについてお伺いしました。(マスメディアン編集部)

――まずは、ご経歴や創業の経緯について教えてください。
起業したのは学生の頃でした。私は学生時代にオーストラリアのゴールドコーストにいたことがあるのですが、健康意識の高い人が多く、ヴィーガンや菜食主義の方も多い街でした。そこでトレンドキーワードになっていたのが、エンドウ豆などの植物性タンパク質。これは日本でも流行るのではないかと思い、帰国したタイミングで、そのアイデアを実践するためにACROVEの前身となる会社、アノマを創業しました。創業メンバーはアルバイトを入れて3名。2018年11月のことです。
 
アノマは、植物性プロテインをはじめとした自社ブランドのEC販売事業により、販売初年度である2019年から年商5000万円程を売り上げることに成功しました。そのまま続けていてもよかったのですが、新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、ビジネスの成功が社会貢献につながるような仕事をしたいと考えるようになりました。
 
そこで、2020年5月には社名をACROVEに変更し、現在の2事業の展開に大きく舵を切りました。2020年に開始した自社開発のBIツールを用いたクライアント企業のEC売上最大化を支援する「ECプラットフォーム事業」と、2022年に開始したM&Aにより買収したECブランドを当社で運営し成長させる「ECロールアップ事業」の2本柱です。コロナ禍の影響でECへの販路拡大・立ち上げ・運用が喫緊の課題だった企業も多かったため引き合いが多く、3年4カ月の間におよそ150名(連結従業員数)の社員数になるほどまでに、急成長してきました。

――積極的に人材募集を図る背景を教えてください。
事業拡大ですね。ECプラットフォーム事業は、順調にクライアント数が増えていますし、ECロールアップ事業には毎月40~50件の相談が来ますので、買収後のEC運営責任者が不足しています。いずれの事業も伸びているので、人材が必要な状況です。
 
――ACROVEの強みや優位性はどういった点にあるのでしょうか。
事業としての強みは2つあります。まずはデータ量の豊富さによる迅速なサービスです。ECプラットフォーム事業では、およそ160社のお客さまがいて、扱う商品は数万種類に及びます。2022年に開始したECロールアップ事業では1年で7件のM&Aを実現し、現在、10を超えるブランドを運営しています。お客さまと自社が扱う無数の商品の販売データや広告効果に関わる膨大なデータを蓄積・所有しています。具体的には、モール動向に関するデータや、競合商品の分析データ、商品の売上増減に関するデータなどです。豊富なデータを根拠として、迅速にPDCAを回すことができる点が優位性の1つです。
 
次に、人の循環についてです。当社は2事業を同時に展開していることから、両事業間で知見を持った人が情報を共有することができます。ECプラットフォーム事業でさまざまな業種の知識を得た人をECロールアップ事業にアサインしたり、ECロールアップ事業でEC運営の経験を積んだ人にECプラットフォーム事業でその知識を活かしてもらったりといった人材の行き来ができ、社内で知見を循環させられるのも強みです。

――積極的に人材の再配置をしているのは、どういうお考えからでしょうか。
EC運営では、キャッシュフローやBS(Balance Sheet:貸借対照表)、アップセルやクロスセルといった売り方や商品設計など、勉強すべきことが多岐にわたります。最終的には、EC事業全体の理解が深い人材を育てたいと考えています。そのために、配置転換や人事異動を積極的に実施し、裁量のある仕事を任せるようにしています。さらに、配置転換を促進するために新しいポジションも継続的に創出しているため、組織が硬直化しにくいという利点もあります。おかげさまで、意欲的なスタッフが多く、高い定着率を維持しており、これが当社の特徴の一つとなっています。

――ECプラットフォーム事業の強みを教えていただけますか。
主に3つあります。1つ目は「データ」についてです。先ほどお話した通りですね。2つ目は、EC売上最大化におけるご支援が一気通貫でできること。ECの構築支援はもちろん、広告運用から物流までワンストップでご支援が可能です。これは、業務におけるシナジーのある日本郵政やサイバーエージェント、博報堂のベンチャーキャピタルからの出資を受けているからこその強みですね。3つ目は、自社でECを運営していること。買収した自社ブランドはすべて増収させていますので、その実績を信頼していただいています。
 
――続いて、ECロールアップ事業における受注までの業務の流れを教えてください。
大きく分けて3つのルートがあります。1つ目が、M&A仲介会社からの紹介です。約40社と提携しています。2つ目が、自社によるソーシング(M&Aにおいてターゲット企業を選定し、ターゲット企業と交渉すること)です。シナジーがありそうな領域は、自社でもリストを持っていて、買収を常に考えています。3つ目が、金融機関からの紹介です。既に富山銀行との連携があり、同行のお客さまで事業承継に悩む方を紹介してもらった実績があります。
 
――M&Aというのは、具体的にはどのようなニーズがあるのでしょうか。
中小企業を中心に事業承継のニーズは非常に多い一方で、承継先が見つからないのが現状を取り巻く課題です。今、日本における社長の平均年齢は60歳程度で、50歳以上の社長が8割を占めると言われています(*1)。しかも、後継者が社内外にいる会社は3%程度です。2025年には245万人の中小企業経営者が70歳を超え、その約半数が後継者未定とも言われています。この「2025年事業承継問題」も目前に控えており、労働力不足により多くの企業が事業を畳むことを余儀なくされます。融資をしている金融機関にとっては貸し倒れとなり大きな痛手ですし、そもそも、企業で働いていた社員やその家族にとっては大変なことです。社会全体にとって、すごく大きな課題です。
 
それにもかかわらず、この問題の改善が進んでいないのは、大きく分けて2つの理由があります。

1つは、M&Aのイメージがあまり良くなかったこと。「ハゲタカファンド」などという言葉をニュースで聞いたことがある人も多いと思います。
 
もう1つは、売上10億円以下の中小企業を対象としたM&Aは、財務面でも事業面でもリスクが大きいこと。一般的に、M&Aのための買収資金の調達は、「買収する会社」ではなく「買収される会社の信用力」を担保とする「LBOローン」という方法が取られます。しかし、金融機関にとっては、「後継者のいない中小企業」の成長力を信用するのは難しい。だから、買収したい会社がなかなか融資を受けられなかったんです。
 
また、創業社長が育ててきた会社の場合、社内でコミュニケーションを密に取っているために事業の情報を外向きにまとめる必要がなく、資料がまとまっていなかったり、後継者候補が社内にいなかったりします。そうなると、事業が成長する未来が見えづらい。買収する側にとっても、判断が難しいんですよね。
 
当社におけるECロールアップという事業は、そういった事業承継をスムーズに行うことで、日本経済全体にとっても、ブランドや雇用者、社員の方々にとってもプラスになるというのが、事業コンセプトになっています。
 
先述の2つの課題も、当社であればクリアできます。財務面においては、当社ではECプラットフォーム事業によるSaaSビジネスの売上に加えて、新株発行により資金調達をしているので、積極的なLBOローンの借り入れをしなくて済みます。

また事業面においては、社内にはECのプロがたくさんいますので、ECモールのアカウントの中身を見れば、それまでの運用を理解できます。引き継ぐ際の課題がほぼなくなるため、当社でしか買えない案件がたくさんあるのです。
 
ある事業を実際に買収するかどうかの判断をするにあたっては、「投資額を一定の期間内に回収できるか」「ECを軸とした事業計画がつくれるか」といったいくつかの基準があります。他に大事にしているのは、「魂の責任者」が当社内または買収先の企業にいるかどうか。「魂の責任者」とは、その商品や商材が好きな人のことです。例えば、自分ではバスケットボールをやらないのに、ワールドカップで流行っているからといってバスケットボールの会社を買っても、結局、事業の伸ばし方ってわからないんですよね。だから、そういった視点は大切にしています。

――最後に、御社のミッション「社会の果樹園を創造する」には、どういう思いが込められているのか、教えてください。
「果樹園」は、いろいろな事業がグループの中で循環していることの例えなんです。仮に、畑にあるのがミカンの木1本だけだとしたら、その木が枯れたら後には何も残りません。事業や製品にはプロダクトライフサイクルといって、市場に出てから衰退するまでの寿命があります。1事業だけでは長く続く企業にはならない。一方で、果樹園であれば、1本の木が枯れたら、土に変わって他の木を豊かにしてくれる。企業でいえば、1つの事業を畳むことになっても、そこで培われた経験や実績、経営管理の方法は新しい事業が生まれ育つ土壌になりえます。果樹園であるグループ全体の成長は続くことになり、肥沃な土壌から、また実りの多い果実が生まれます。
 
当社は、実際そうなっていて、ブランド1つひとつには賞味期限があっても、M&Aや子会社、事業間のシナジーは発揮しているし、仮に1つのブランドが枯れてしまってもグループは生き残るので、社員はもう1回違う事業に挑戦できる。いわゆる「コングロマリット経営」ですが、こうすれば300年続く会社ができる。そういう思いで、「社会の果樹園を創造する」というミッションを掲げています。
 
「果樹園」というからには、規模も大きくしていきたい。50年後には10兆円規模のグループにしたいと思っています。その言い方を変えるなら、今の若手世代を代表するような会社になりたい。今、会社は軌道に乗っていますが、それに満足せず、さらに上を目指して会社を育てていきたいと思います。
 
――ありがとうございました。
 
*1:帝国データバンク「全国「社長年齢」分析調査(2022年)」(https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p230606.html)より

※2023年8月に取材した内容を掲載しています。

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