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日本のブランドを再び輝かせるため、広告の枠組みを離れ「リブランディングの専門支援会社」へと進化―株式会社YRK and

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YRK and(ワイアールケイアンド)は大阪市に本社を置く事業コンサルティングの会社です。明治29年の創業から幾度も事業形態を変え、時代の変化と顧客のニーズに応えてきました。そして2018年、同社は広告・マーケティングという枠組みからの離脱を宣言。長く親しまれた「ヤラカス舘」から現在の「YRK and」へ社名を変更しました。そこにはどのような背景があったのか。そして、新たなメンバーの思いは。上席執行役員兼最高ブランディング責任者の戸田成人さんと東京コンサルティング事業部マネージャーの丹野北斗さんにお話を伺いました。(マスメディアン編集部)

──社名変更後の社内の体制や業務の変化について教えてください。
戸田:当社は創業からまもなく130年を迎える老舗です。現在の社名に変えて5年が経ちましたが、まだ、前の「ヤラカス舘」のイメージを強く持たれています。でも、僕たちはもう広告制作会社でも、マーケティング支援会社でもありません。主にリブランディングを専門に担う「事業コンサルティングファーム」です。
 
1980年代に日本にもブランディングの概念が徐々に入ってきて、企業はこぞってCI(コーポレートアイデンティティ)というプロジェクトに取り組むようになりました。ブランドコンセプトを理解してもらうためのCMを流し、パッケージやお店をきれいにする。ロゴやスローガンをしっかり見直して、ホームページやWeb上のアプローチも一気に変える。僕らもそんな仕事をたくさんやってきました。
 
しかし、一度確立したブランドも永遠ではありません。競合が出てきて、似たような製品・サービスが乱立すれば色あせていきます。それは、社会の変化に強いブランドのシステムをつくれたわけではなく、伝え方の部分だけを一時的にリニューアルしたに過ぎないからではないでしょうか。それに、見た目がどんなに素敵でも、ちょっと意見を言いたくてコールセンターに電話したときの対応が悪ければ、そのブランドは一気にダメになる。ブランドは、広告やマーケティングだけでつくれるものではありません。事業のあらゆるプロセスに目を配り、場合によっては、事業そのものを見直す必要があります。僕らは、そういう課題を抱えて苦しむクライアントを目の当たりにしてきました。だから5年前に広告業界を離脱し、「これからはリブランディングを得意領域とした事業コンサルティングファームとしてやっていこう」と決めたんです。
 
当社は、組織構造や営業スタイル、また社員の評価制度や給与体系なども、コンサルティングに適した形に変えている途中です。一方で、従来からの広告・マーケティング領域の仕事もまだたくさんご依頼がありますから、これらには今まで以上にブランディング視点でご提案を続けています。社内的には、非効率な業務の見直しも進めていかなければなりません。進捗はまだまだ6割5分といったところでしょうか。本当の事業コンサルティングファームとしては道半ばです。

YRK and 上席執行役員兼最高ブランディング責任者 戸田成人さん

──広告業界という枠組みを離れたYRK andは、どのようなポジションを目指しているのでしょうか。
戸田:長い間、ブランディングは広告業界の専売特許でした。ブランドの本質的な課題がコミュニケーション領域にある場合はそれでいいと思います。

でも、先ほどお話したコールセンターもそうですし、お店の空間や接客などユーザビリティを変えなければならないときがあります。接客を変えるために、スタッフの評価の仕組み、さらにはミッション、ビジョン、バリューの見直しがいるかもしれません。顧客に対するトーク台本や会社のユニフォームが必要なときもあれば、LTV(顧客生涯価値)を上げなければならないときもあります。

つまり、YRK andが得意なサービスを売り込むのではなく、クライアント自身も気づいていないクライアントの本当の問題をあぶり出して、問題の定義そのものをプレゼンテーションし、部署を横断した合意を形成する。そこから、必要なソリューションだけを最小限で提供し、再現性にこだわり、できる限り仕組み化をする。こんなふうに、ビジネスプロセスを丸ごと俯瞰で見て、ブランドの本質的な課題から新しいコンセプトをつくり、泥臭い365日のオペレーションまでをとことん伴走する会社は、日本にはまだ少ない。僕らはそこに行きたいと思っています。

──まだ世の中にない、独自のポジションを目指しているということですね。
戸田:はい。ただ独占しようとは思いません。というより、できないんです。なぜなら、「従業員を200人以上にしない」というのが、当社の創業家のポリシーですから。当社の代表である中許が、従業員の家族構成や学歴、特技といったパーソナルな情報を覚えられるのは200人までだと。だから、会社をそれ以上に大きくしないのだと常々話しています。

従業員教育の面からも、200人が限界だと思います。当社の教育は、個人の改善点を見つけるのではなく、良いところを伸ばすという方針のもとで行っています。国語も算数も理科も社会も、全部平均点以上取るのって大変ですから。苦手な算数を無理に勉強させるのではなく、得意な国語を伸ばせるように、一人ひとりマネジメントするのが僕らのスタイル。人数が増えすぎると、丁寧に向き合うことができなくなってしまいます。

YRK andの創業理念は「存続と継続」です。普通は「成長と発展」的なことですよね(笑)。でも当社は違う。クライアントのために、従業員のために、代表の目が行き届くサイズで会社を続けていくことを第一に考えているのです。

だから、僕らはポジションを独占しない。むしろ、同じ志をもった企業が増え、多くの日本のブランドが再び輝ける日が来ることを願っています。

──コンサルティングファームのYRK andとして、どのような人材を求めていますか。
戸田:YRK andのソリューションは、クライアントの課題に沿ってオーダーメイドで提供されます。ソリューションのフォーマットがあるわけでもないし、タッグを組む協力会社も毎回違います。ビジネス構造上、効率が悪く利益率も低い。でも、世の中には、そういう事業スタイルをとる企業があってもいいと思います。大きくは儲からないけれど、クライアントに高い満足度を提供できる喜びがありますから。実際、一度でも仕事の依頼を受けたクライアントとは、お付き合いがずっと長く続くことが多いです。中長期的にクライアントに伴走したい人は、とてもやりがいを感じられる職場だと思います。

「ヤラカス舘」時代の当社は、クリエイティブディレクターとか、ストラテジックプランナーとか、その道のプロフェッショナルを採用してきました。しかし、現在のYRK andが求めているのは、1つのことに長けた人ではなく、どんな課題でもガンガンやる人です。もう少し正確に言えば、本当の問題を発見でき、その問題がなんであれ、ガンガン解決していこうと前向きに考えられる人。

本当に再生が必要なブランドは、何が成長レバーになって息を吹き返すことができるのか本当にわかりにくい。また、わかったとしても、それが当社のビジネスになりえるのかさえも、未知数なことばかり。それでも、何なら、ちょっとデンジャラスな仕事を引っ張ってきたっていい。というのが、当社の文化です。怖がらずにどんどん進んで、盛大に転んで、それを教訓にさらに前進できる人。ただし、転ぶなら前向きに。これが大切です。当社が求めているのはそういう人です。丹野さんがまさにそうでした。やんちゃな感じで(笑)。

──丹野さんご自身は、なぜYRK andを選んだのですか?
丹野:僕はいつか起業して、自分で何かビジネスをやりたいと思っています。それで、中小企業で総務・経理を経験したのち、マーケティングリサーチ会社に入って企画提案や新規事業を担当しながらノウハウを勉強していました。
 
手詰まり感を覚えたのは、30歳を過ぎたころ。クライアントに調査結果を報告するところまでで仕事が終わってしまうことに、物足りなさを感じるようになっていました。その先の事業の変革に関わってみたくなったんです。正直、マーケティングという狭い領域に飽きてしまったという気持ちもありました。

YRK and 東京コンサルティング事業部マネージャー 丹野北斗さん

幾つか採用面接を受けたなかでYRK andに決めたのは、対面での面接で話ができたから。2022年の転職活動中、他の企業では面接はすべてオンラインと指定されるケースもありましたが、YRK andは僕の希望とマッチして、対面でコミュニケーションを取ることができました。将来、経営を目指す者として、画面からは見えてこないものがあるんじゃないかと思っていて。リモート前提の職場はミスマッチだと判断したんです。
 
それに、面接をしてくれた当時のコンサルティング事業部長が「いまは事業変革の最中。決して楽ができる環境ではないよ」と率直に言ってくれたのが印象的でした。かといって、現場が疲弊している印象はまったくない。誰もが目線は前を向いて、「事業としてリブランディングをやっていく」という強い意思を感じました。
 
僕は起業を目指して、広くいろんな経験を積んできましたから、特定の分野の専門家ではなくゼネラリストです。そのある種の総合性が、YRK andの変革にも、そして事業として取り組むリブランディングにも活かせそうな気がしたんです。

──コンサルタントとして実際に入社してみて、いかがでしたか?
丹野:一言で言うと「自由」です。当社には決まった商材がありません。基本的に、どんな仕事を取ってきてもいい。僕が得意なのは、クライアントと対話を続けて、仲良くなって。困っていることや改善した方がいいことを発見したら、それに対するソリューションを提案するという方法です。
 
やり方も個人の裁量に任されています。僕は自分に専門知識がないので、社内外のブレーンたちに教えを乞うようにしています。そういう素直さが大事。一方で、「俺がやるんだ」という主体性、我の強さも出さなくてはダメだと思います。自分の人生なのですから。
 
──今後どんなふうに仕事をしていきたいと考えていますか。
丹野:将来は自分でビジネスをやりたいと言うと、すごいビジョンを持っていそうに聞こえますよね。でも、僕はビジョナリーな方ではありません。むしろ予測不能な状況、「えー、まじっすか!」って声が出ちゃうようなボールを投げられる方が燃えるタイプ。だから、僕がやりたいのは、いろんなボールを投げてくれる人を社内外に増やすことです。もちろん、明らかなデッドボールはちゃんと避けますけど(笑)。

──最後に、YRK andに興味を持った読者の方へメッセージをお願いします。
戸田:ブランディング支援を名乗る会社はたくさん存在しますが、「リブランディングの専門支援」は、日本では未発達の分野です。先陣を切る者には、誰も経験したことがない困難が待ち受けていると思います。それでも僕らは挑戦したい。
 
リブランディングを必要としているのは、弱体化してしまったブランドだけではありません。日本には、本当にいいものをつくっているのに、営業力がなかったり、問い合わせを受ける体制が整っていなかったり、見ていてもどかしい気持ちになる会社がたくさんあります。そういうものを一つひとつ丁寧に改善していって、埋もれてしまっている小さなブランドに光が当たるようにしたい。世界で戦える強いブランドにしたいのです。
 
広告やマーケティングは、そのための手法の1つにすぎません。当社は、広告だけをやりたい人ではなく、マーケティングだけをやりたい人でもなく、ビジネスプロセスの全部を見て、クライアントの経営者と一緒に課題を解決したい人に来てほしい。リブランディングに社会的価値を感じて、一緒に挑戦してくれる方を待っています。
 
──ありがとうございました。

※2023年10月に取材した内容を掲載しています。

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