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出版社からマルチメディア・カンパニーへ。117年目のDXチャレンジ─株式会社ハースト・デジタル・ジャパン

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ハースト婦人画報社/ハースト・デジタル・ジャパンでは、メディア編集、デジタルマーケティング、プロダクト開発ポジションなどを積極採用中。特にWebプロデューサー、Webディレクター、データサイエンティスト・データエンジニアの採用に力を入れており、今期から東京・京都の2拠点で採用しています。

2022年11月18日、ハースト婦人画報社/ハースト・デジタル・ジャパンは、メディアブランドを活用したデジタル戦略や同社の歴史・カルチャー、社員のキャリアについて語るセミナー「婦人画報117年目のDXチャレンジ」を実施しました。今回は、同社への応募を考えている方に向けて、セミナーのダイジェストをお届けします。(マスメディアン編集部)

■登壇者紹介
ハースト婦人画報社 『婦人画報』『婦人画報 デジタル』編集長 西原史さん
ハースト・デジタル・ジャパン デジタル本部 副本部長 平瀬良さん
ファシリテーター:フリーアナウンサー/朗読家 戸丸彰子さん

――本日のセミナーは、京都のサテライトオフィスで実施しています。
平瀬:『婦人画報』や『美しいキモノ』をはじめとするメディアを持ち日本文化と親和性の高い当社にとって、京都というのはゆかりの深い土地です。私自身も京都は好きで、このオフィスによく来ています。社内で一番使っているかもしれません(笑)。

このサテライトオフィスは、社員の新しい就業場所を確保するため、また、関西エリアから移住することなく働きたいデジタル人材の採用を目指し、2022年6月に開設しました。

――ハースト婦人画報社と、ハースト・デジタル・ジャパンについて教えてください。
平瀬:ハースト婦人画報社/ハースト・デジタル・ジャパンは、ニューヨークに本社をおくグローバル企業ハーストの一員です。ハーストは2022年で135周年を迎える歴史ある企業で、40カ国で事業を展開しています。メディア事業が有名ですが、金融や医療の分野で、データ活用の法人向けソリューションも提供しています。

西原:当社は、2011年にハーストグループに加入しました。日本では、「メディア」、「Eコマース」、「法人向けソリューション」の事業が3本柱になっています。メディア事業としては、『婦人画報』をはじめ、『ELLE(エル)』、『25ans(ヴァンサンカン)』、『Harper’s BAZAAR(ハーパーズ バザー)』、『MEN’S CLUB(メンズクラブ)』、『COSMOPOLITAN(コスモポリタン)』などを中心に、多数の雑誌を発行、またデジタルメディアを運営しています。ソリューション事業としては、プロモーション支援やオウンドメディアの運用支援、コーポレートサイト・商品のブランディング支援を手がけています。

平瀬:当社には、雑誌の会社、つまり紙メディアの会社というイメージをお持ちの方も多いと思います。しかし実際は、事業多角化に舵を切り、デジタルシフトにも積極的に取り組んできました。日本初のファッションサイト『エル・オンライン(現・エル デジタル)』をローンチしたのは1996年。このサイト、実はYahoo! JAPANと同い年なんです。

求人募集をしているハースト・デジタル・ジャパンは、従来の出版社から脱皮し、デジタル領域の事業をさらに加速するため、2016年に子会社として設立されました。新しい就業環境や人事制度を整え、現在は全従業員が同社に在籍しています。

――『婦人画報』は、愛読者も多い歴史ある雑誌ですよね。
西原:1905年、明治時代に国木田独歩により創刊された『婦人画報』は、日本で最も歴史のあるライフスタイル誌のひとつです。読者の人生をよりよいものにするために、素敵なものを選りすぐって、素敵なビジュアルでお届けする、という編集方針を、創刊から117年続けてきました。

タイトルには「婦人」とついていますが、ターゲットは年齢も性別も限定していません。良いものを知りたい方、好奇心のある方であれば、誰でも楽しんでいただける誌面づくりをしています。ただ、「女性をエンパワーメントしたい」という創刊時からの思いは今も大切にしています。

――『婦人画報デジタル』についても教えていただけますか?
西原:Webサイト『婦人画報デジタル』は、2019年末にリニューアルし、本格稼働を開始しました。同サイトには、雑誌の記事を再編集したコンテンツと、デジタルオリジナルコンテンツを掲載しており、デジタルならではの動画コンテンツにも注力しています。編集方針は雑誌と同じで、一生使える上質な学びを提供し、知的好奇心を満たす情報を発信しています。

――お二人のキャリアについて教えてください。
西原:私は大手通信教育・出版企業に新卒で入社し、育児雑誌のブランドビジネス部門を経て2003年に当社に入社しました。それから約20年、『婦人画報』と『婦人画報デジタル』の編集を担当してきました。2020年から『婦人画報デジタル』の、2021年7月から『婦人画報』の編集長を務めています。どんなに小さなことでも、「『婦人画報』で出会った情報で、人生が変わった」という読者の声をいただくのが一番嬉しいですね。

平瀬:私は大手通信・IT企業を経て2015年に中途で入社し、初めての仕事は『コスモポリタン』日本版の立ち上げでした。ハースト本社がアメリカで展開していた『コスモポリタン』のローカライズですね。その際に印象深かったことは、ハースト本社が開発し、全世界で統一して使用しているCMSを日本にも導入したことです。

メディアによってターゲット層やコンテンツの構成が異なるので、CMSの機能も個別の要望があるものです。それまではハースト婦人画報社でも、メディアごとに異なった開発内容を実装している部分がありました。ハースト本社では全メディアでCMSを統一していると聞いたときには驚きましたし、アメリカらしい効率的な考え方だと思いました。

CMSを統一する目的は、データを扱いやすくすることです。読者データや閲覧データが統一されたプラットフォームに乗るので、メディアを横断した課題の抽出・分析ができるようになります。デザイン面など、乗り越えるべき問題はたくさんありましたし、現場からは不安の声も上がっていましたが、当社のDXの基礎となるキーポイントでした。いまでは全メディアで統一のCMSを使用し、編集者にとって効率的な環境を整えています。

――ハーストグループでデジタルの仕事をする醍醐味は何だと思いますか?
平瀬:データ基盤が整っているため、ユーザーの動きや声がデータから読み取れます。それを近くに感じながらサービスの開発・運用ができることです。

また、アメリカの企業のグループ会社であることもメリットですね。インターネット上で大きなムーブメントが起こるとき、アメリカに発端があり、広告会社やユーザーの動きが生まれ、それが日本に波及してきます。ハースト本社で開発しているCMSには、そのようなメディアの最先端であるアメリカのマーケットやユーザーへの考え方が反映されていますので、そういった思想を自然と取り入れられます。また、本社にいるCMSの開発者から直接ねらいを聞けるので、彼らがメディア業界の展望や行く先をどう考えているのか知ることができます。これはメディアに携わる人のキャリアにとってはプラスになると感じています。

――平瀬さんはデジタル本部の所属です。仕事内容を詳しくお聞かせください。
平瀬:当社が運営しているサイトの開発と、オーディエンス・ディベロップメントです。つまり、ユーザーをたくさん獲得し、ユーザーにより高い満足をしてもらい、ファンになってもらうため、データやテクノロジーの面でサイトやコンテンツの改善をしています。

一口にユーザーといっても、愛読者の方、検索エンジン経由の方、SNS経由で初めて来訪した方など入り口や属性はさまざまです。編集部はコンテンツをつくる際にターゲットと目的を定めており、リピーターであるファン向けにニッチな記事をつくることもあれば、SNSでの拡散を狙って、幅広い層に向けた記事をつくることもあります。私たちデジタル本部では、各コンテンツの効果や反響について、ターゲットや目的と照らし合わせ、編集部にフィードバックをしています。

――今後のデジタル戦略についても教えていただけますか?
西原:新たな展開として、『婦人画報 デジタル』では「婦人画報プレミアム」という有料の会員サービスが11月30日にスタートしました。117年間の貴重なアーカイブから厳選した記事をデジタルコンテンツとして配信するものです。

ある読者の方からお聞きしたことですが、『婦人画報』を定期購読していたものの、多忙のため数年読めなかった期間があったそうなんです。時間ができたときに溜まっていた雑誌を読んだら、数年前の記事でも面白かったと。

私たちも、ひと月経ったから、数年経ったから、数十年経ったからといって古びないエバーグリーンコンテンツを目指しています。「婦人画報プレミアム」では、117年前の記事と令和の記事が並びます。デジタルの利点と古びない記事の掛け合わせだからこそできることです。新生『婦人画報』として、できるだけ価格も抑え、これまでリーチできなかった方々にも届けたいと考えています。

平瀬:プレミアム会員募集に先駆けて、無料のログイン専用コンテンツが読めるメンバーシップ登録を2021年末から始めています。これまで、ハースト婦人画報社のメディアでID登録が必要だったのは、「ELLE SHOP」「Women’s Health SHOP」などのEコマースが中心でした。コンテンツのためのID登録は初めてのトライですが、予想以上の登録者が集まっており、ニーズは高いと見ています。

個人情報の取り扱いは、Web業界・広告業界で大きなテーマになっています。そのようななかで、自社IDを持ち、それに基づいてデータ活用ができるのは大きなメリットです。各ユーザーの動きや志向をとらえ、メディア・コンテンツ展開をしていきたいと考えています。

――ハーストグループで働く魅力を教えていただけますか?
平瀬:当社で働く面白みは2点あります。1つはファンがたくさんいるメディアに携われること。もう1つは、社会的な課題に対して、媒体も国境も越えて会社として取り組むプロジェクトが多数あることです。例えば、セクシャルウェルネス・フェムテック分野で、「WeSAY(ウィーセイ)」というプロジェクトを展開しています。これは「We=私たち」「SAY=性、言う、生」という意味を込めたネーミングです。当社が運営する各メディアが取材を重ねて得たセクシャルウェルネスに関する知見を、複数の媒体で横断的に発信しています。

――風通しがよさそうですよね。
西原:当社は、2021年4月にフリーアドレスになりました。違う部署の人と一緒に仕事をしたり、異動した人の話を聞きたいときにはお隣で仕事ができたりします。フラットで働きやすくなりました。

――だからこそ新しいチャレンジが生まれてくるんでしょうね。最後に、メディアを取り巻く世の中の変化、個人的展望、出版業界の可能性についての見解を教えてください。
西原:これからのメディアにとってなにより重要なのは、信頼性だと考えています。親会社があるアメリカでは、情報の信頼性、透明性がホットなイシューです。情報が氾濫するなか、メディアには発信する情報の質や真実性が問われています。

信頼性は、『婦人画報』編集長としても大事にしています。読者の信頼に応えるコンテンツづくりをしてきた『婦人画報』の歩みと、透明性・信頼性を重視する動きは重なるものがあります。信頼を積み重ねていくのはコストがかかりますが、メディアが生き残っていくためには不可欠なものです。そのような信頼性の高いコンテンツを制作できる編集者、クリエイター、プロデューサーのニーズはどんどん高まっていくと思います。

※2022年11月に実施したセミナーの内容を掲載しています。

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