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空間だけではない、体験までもデザインする設計事務所の挑戦 ─ゲンスラー・アンド・アソシエイツ・インターナショナル・リミテッド

東京

事業会社

クリエイティブ

1965年に米国サンフランシスコで設立された世界最大級のデザイン設計事務所「ゲンスラー・アンド・アソシエイツ・インターナショナル・リミテッド」。同社は、ビジネス戦略に合わせたワークプレイスの設計を、世界で初めて手掛けたことで有名です。現在は、ワークプレイスをはじめ、都市計画、空港や商業施設、ホテルなどの大型プロジェクトのデザイン設計から、コンサルティング事業やブランディング支援など、従来の設計事務所という枠組みを超えた幅広い事業を手掛けています。さらに最近では、デジタルエクスペリエンスデザイン(DXD)やコミュニケーション戦略など、空間で得られる体験をデザインするまで領域を広げています。そんなゲンスラーの新しい取り組みをクリエイティブプロデューサーの飯田昭雄さんとデザインマネージャーの横川遥さんに伺いました。お二人とも広告業界でのご経歴の持ち主です。一見交わらないように思える、広告業界と建築業界。これまでの経験が、どのように現職で活きているのか、インタビューしました。(マスメディアン編集部)

ゲンスラー・アンド・アソシエイツ・
インターナショナル・リミテッド
アソシエイト/クリエイティブプロデューサー
飯田昭雄さん

──まずは、お二人のこれまでのご経歴を教えていただけますか?
飯田:私のキャリアは、編集者からスタートしましたが、アートが大好きだったこともあり、フリーでギャラリーのキュレーターをしていました。その後、外資系のクリエイティブエージェンシーにアートバイヤーとして入社。編集者時代やギャラリーで関わったアーティストのネットワークを活かし、社外クリエイターと広告クリエイティブの架け橋となる仕事をしていました。そのようなときに東日本大震災が発生しました。仕事を続けながら宮城県石巻市でNPOを立ち上げ、地方創生の活動にのめり込むようになりましたが、あまりにも面白かったため会社を辞め1年間フルでNPO活動に集中しました。その後、ご縁があって外資系のデジタルエージェンシーに再就職したキャリアです。そこからさらに転職するという選択肢は考えていませんでした。ただ、NPO活動を通じてサステナブルな世界を見ていた私は、消費・浪費の連続のような広告の世界に疑問も感じていました。そんなとき、今の上司である天野大地さんと知り合ったことがきっかけで、2018年9月にゲンスラーへ転職し、現在はクリエイティブプロデューサーをしています。

ゲンスラー・アンド・アソシエイツ・
インターナショナル・リミテッド
デザインマネージャー
横川遥さん

横川:新卒では編集の仕事をしていました。つくる仕事がしたいという思いから編集者になりましたが、つくったものを直接人に届けたいという思いが強くなり、イベントや展示を運営する会社へ転職しました。ワークショップやイベントの企画運営をするなかで、来場者の反応に直に触れることができてとても楽しかったです。ただ、より多くの人に届くコンテンツがつくりたいと思うようになりました。デジタルであれば場所にとらわれず、いろいろな人にコンテンツを届けることができると思い、デジタルプロダクションにプロジェクトマネージャーとして転職しました。デジタルという業界自体はとても好きだった一方で、プロダクションよりも広い領域に携わることを考え、その後外資系のデジタルエージェンシーに転職。サンフランシスコのクリエイティブエージェンシーと一緒に仕事をする機会もあり、刺激的な日々でした。彼らのリサーチに基づいた戦略やデザインについて学ぶなかで、「企画の面白さ」以外のプランニングがあることを知り、もっと幅の広い業務ができる会社で働きたいと思っていたときに、飯田さんから誘いを受けました。展示やイベントの経験もあり、空間をつくる仕事も楽しかった。建物や空間は、人の生活に密着しています。人に影響を与える仕事ができるこんな機会はないと思い、転職を決意しました。2019年3月にゲンスラーに入社し、デザインマネージャー(プロジェクトマネージャー)をしています。複数回転職を経験しましたが、クリエイターの近くで進行管理をしている業務は一貫して変わりはありません。

──お二方が所属しているチームについて教えてほしいです。
飯田:東京オフィスは、約100人の社員が所属しています。オフィスデザインを手掛ける「ワークスタジオ」、商業施設やホテル、小売店舗を担当する「ライフスタイルスタジオ」、そして私たちが所属する「ワークフレックススタジオ」の3つの部署に分かれています。ワークフレックススタジオは、「ワークスタジオ」と「ライフスタイルスタジオ」のチームが手掛けるプロジェクトにドライブをかける役割。もはや空間(建築・内装)を設計して終わりではありません。そこで営む人々の体験をデザインしたりコンサルしたりすることが求められます。それを企画し具現化するのがワークフレックススタジオの役割です。

──どのような意図でデジタルエクスペリエンスデザイン(DXD)の領域が新設されたのでしょうか?
飯田:どこかに行こうとするときスマートフォンで地図検索したり、その空間で写真をとってSNSにアップしたりしますよね。建築業界でも空間とデジタルの垣根のない考え方が求められつつあります。そのため当社では、建築や都市空間をエンターテインメント化したり参加性を高めたりする仕掛けにデジタルを取り入れようとしています。わかりやすい例として、プロジェクションマッピングやインタラクティブ・デジタルサイネージなどが挙げられます。それを当社では、デジタルエクスペリエンスデザイン(DXD)と称して推進しています。空間でのリアルな体験とデジタル上での体験をボーダレスにデザインする試みです。日本の業界を見渡してもこれに特化した部門はまだないので、他社に先駆けてゲンスラーの強みにしていきたい分野です。
https://www.gensler.com/expertise/digital-experience-design/projects

当社の北米のチームでは数年前からDXDを推進していましたが、東京のチームでも2018年頃から売り出していこうという話しになり、DXDの領域が新設されました。まだ結成して日の浅いチームですが、ようやくプロジェクトが形になり、お客さまにもゲンスラーのDXDが認知されはじめてきたところです。

また、チームの新設に伴い私のような広告業界出身者が入社してきました。DXDは空間での体験をデザインする建築分野の新しい表現方法です。建築から派生した概念ではありますが、アウトプットはWebサイトやデジタルサイネージ、映像、グラフィック、イベントなど多種多様で、広告業界でいうコミュニケーションデザインやブランドデザインに共通している部分があります。そのためゲンスラーでは、私たちのような広告業界出身者を積極的に採用しています。

──具体的な事例があれば教えていただけますか?
横川:コワーキングスペースのプロジェクトでは、ブランドグッズを提案して制作したり、Webサイトやリーフレット、ポスター、コワーキングスペースに投影するモーショングラフィック映像も制作したりしました。さらに、コワーキングスペースをアクティベート(活性化)させるために、オープニングイベントを皮切りにイベントの企画もしました。インテリアデザインだけではなく、通常であれば広告会社や制作会社が担当するような領域までを、当社が一貫してプロデュースしたのです。

飯田:コワーキングスペースをつくりたいと依頼があったとき、ただオシャレな内装を設計するだけでは、永続的に人が集まるスペースは生まれません。そのスペースをどのようにアクティベート(活性化)させるか。人が集まって、出会って、会話が生まれる。それがコワーキングスペースの本来の価値です。そのために、私たちは徹底的にリサーチと分析を行い、課題と機会を洗い出します。その課題と機会からコンセプトを考え、デザインに落とし込んでいくのです。そういうプロセスを通し私たちは企業やブランドのことを深く理解しています。空間のデザインはじめグラフィックやデジタル、映像からアクティベーションのプログラムまで一気通貫でプロデュースすることで、クライアントやブランド自体に付加価値をつけることができるのです。そうするともはや建築だけのプロジェクトではないですよね。ここにビッグチャンスが眠っていると感じています。

──入社して感じたことを教えてください。
横川:業務自体はこれまでの経験を活かせているので違和感はありませんが、プロジェクトの時間軸は大きく違っています。広告、特にプロモーションの仕事では、制作期間が数カ月間、ローンチして数日後に終了するプロジェクトもありました。ゲンスラーの場合は、2年後に完成するオフィスなど、プロジェクトが完了するまでにかかる時間が比べものにならないほど長いです。しかも完成した後すぐになくなってしまうものではありません。またプロジェクト全体は長期にわたりますが、「リサーチ」「コンセプト」「デザイン」「制作」などフェーズがしっかりと分かれている。ステップを踏みながらプロジェクトを進められる実感があり、それがやりがいにつながっています。

飯田:未経験の建築業界へ入った1年前は不安しかありませんでした(笑)。でも、入社してすぐに仕事があり、1年間で十数件のプロジェクトに携わることができました。これまで積み重ねてきた能力を、現職でも変わらず発揮することができています。私にできる仕事がこんなにあるのだと建築業界での可能性を感じました。

また、建物や空間はただの箱です。そこに人がいるからこそ価値がある。空間にどのように人を集め活性化させることは、NPOでやっている地域活性化の事業に近いです。そんな仕事ができるのがとても嬉しいです。ゲンスラーでの日々は、もはや仕事のやりがいを超え、私のライフワークに近いといってもいいかもしれません。

横川:例えば、オフィスはその会社の社員が働く空間です。1日8時間働くと考えたとき、1日の3分の1を過ごす場所になります。そのため、単純に働くスペースを設計するだけではなく、組織のワークスタイルやインナーコミュニケーションなどさまざまな要素を考慮する必要があります。そういったことを考えて自分たちの業務を遂行するなかで、人の生活に影響を与えられる可能性があること、つくったものがただ消費されるのではなくクライアントにとって資産になりうるということは、とても得がたい経験だと感じます。そしてゲンスラーの場合、オフィスデザインだけではなく、商業施設やホテル、空港など、業種・業態の幅が広いところも仕事の面白さにつながっています。

──実際の制作は外注なのでしょうか?
飯田:はい。社外のクリエイターと協業することも多くありますが、ゲンスラーとしてのディレクションやプロデュースにブレがないようにしています。私が前職時代からお付き合いしていた制作会社やフリーランサー、SNSで見つけた新進気鋭のアーティストまで、みなさん広告以外のプロジェクトに関わることを楽しんでくれています。異業種とのコラボレーションもゲンスラーの強みにしていきたいですね。

──今後の展望を教えてください。
横川:入社してわずか10カ月ですが、携わるプロジェクトには毎回発見があり、学びの連続だと感じています。それを次のプロジェクトに還元することを繰り返していけばずっと成長できる。空間を人々に永続的に使ってもらえるような仕掛けをつくり続けながら、私自身もスキルアップし続けていけたらと考えています。

飯田:毎回、新しい挑戦の連続で、業務範囲も拡張し続けています。我々のように建築設計だけでなく、体験のデザインを専門に手掛けられるチームが社内にある企業はほとんど存在しません。ライバル不在の今だからこそ、チームをより強化しこのジャンルでの草分け的存在になっていきたいと思っています。

ゲンスラーが手掛けた空間は2018年だけでも110平方キロメートル以上におよび、日々何百万人もの人々が過ごしています。その規模を想像するだけでもワクワクします。そのような可能性を感じていただける方にぜひご応募いただきたいです。今までの経験を活かせるチャンスがゲンスラーにはあります。

――お話ありがとうございました。

※2019年12月に取材した内容を掲載しています。