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【名古屋特集】そんなこともできるの!? ただの印刷会社と侮るなかれ─新日本印刷株式会社

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創立から半世紀を迎えた新日本印刷。主力であるカタログ制作において、自社でスタジオを保有しているという強みを活かして、多くのクライアントからの信頼を築くと同時に、ドローンやVRなど新しいことにも積極的にチャレンジしています。「なんでもできる」印刷会社を目指して、絶えず進化を続ける同社の考えるクリエイティブについて、制作部部長の武内さんと、制作部次長の近藤さんにお話を伺いました。(マスメディアン編集部)

──まずは貴社のメイン事業である印刷物について、こだわりや強みを教えてください。
武内:創業間もないころから自社でスタジオを持ち、写真を大切にしてきたことですね。当社は1967年に創業して、今年で52年目を迎えるのですが、創業翌年にはスタジオをつくっているんです。昔からカタログ主体で仕事をしてきたので、写真は絶対に欠かせないものだったんですよね。素材からつくれることが当社の強みの1つだと思います。やっぱり撮影が命で、デザイナーがどんなに良いデザインをつくっても、写真に勝る訴求力はない。良い写真や素材をつくりあげることもデザイナーとしてのスキルで、それを養っていけることがメリットかなと思っています。そういう意味ではクリエイティビティの高い仕事ができていると思うし、いま旬の要素を取り込んでクリエイティブをつくるという点では、大手広告会社の規模の大きな仕事とクオリティの差はそんなにないんじゃないかと自負しています。

自社内に保有しているスタジオ


──立派なスタジオを持ちながらロケに行くことも多いですよね。会社としては、持っているものをどう活かすか、いかにコストを抑えるかという考えにもなりそうですが、やはりクオリティを優先されてのことなのでしょうか?
近藤:もちろんコストのことも考えていますが、常に変化しないとダメだなとも思っています。たとえば最近だと、動画のスキルを上げるために、テスト的に公園でドローンの練習をしました。公園でやるためには許可が必要なので、許可申請をとる練習もしておかないといけない。はじめてのことに直面するときにそれが本番だと焦ってしまうので、いろんなことを経験しておこうという意味もあります。すべてが今のままで満足ということではなく、改善しながら最適な方法を考えていくというスタイルをとっています。

──進化を続けることで、常に高いクオリティを提供しているのですね。ドローンのお話もあったように、最近は印刷物以外のことにもいろいろ取り組まれているようですが、詳しく教えていただけますか?
武内:最近は、営業部のなかに「クロスコミュニケーションチーム」というものをつくって、Webや動画、さらに什器や店舗設計にも取り組んでいます。1つの事例として、通信販売大手のお客さまとよく仕事をするのですが、実店舗の売り場設計を任されて、同社の商品キャンペーンを一緒に手がけました。僕たちは印刷会社なので、設計施工が得意というわけではないのですが、クライアントと一緒に試行錯誤しながら成功させました。僕たちがディレクター的な立ち位置で、いろんな要素を拾いながら仕事をしていくことで、印刷以外の部分でも活躍できると思いますし、結果的にそこから印刷物の受注につながることもありますね。もちろん本業は印刷なので、そこに注力するチームもあります。ただ、「印刷屋なので印刷します!」という営業スタイルではなく、別のアプローチも必要だと感じていて、そこを強化していこうという流れがあります。このため改めて今期からきちんとチーム体制を整えて、動いています。

──貴社は名古屋に本社がありますが、クライアントとの主なやりとりは東京なのでしょうか?
近藤:先の通信販売のお客さまの場合だと、基本的なやりとりは名古屋ですが、東京でも大きな案件が動いているので、週1回ほど営業が出張しています。東京の場合は企画の立ち上げ段階から声をかけていただくことが多く、新商品などの最新情報が得られるんですよね。その情報をもとに、そのクライアントの名古屋支社に伺った際に、今度こんな商品出るんですね?というような話をすると、「そうなんですよ。なのでこれお願いします」と仕事につながる。根っこを押さえることが大事ですね。
 
武内:上流から関わることで、広告会社と競合することも多くなってきましたが、ある程度の勝率を維持できています。特に、Webと動画をセットで提供できることが優位性につながっていると思います。Webと印刷物はほとんどの会社が取り組んでいますが、動画がセットになって、かつすべて自社内で完結できる会社はほとんどないので、そこが一番強みかなと思っています。
 
近藤:動画に関しては、スタジオがあるため撮影が簡単にできるので、ライトな気持ちで撮影に臨めるんですよね。お話をいただいたときに、外部スタッフだとスタジオの手配から必要になるので、おっくうになってしまうこともあるかもしれません。でも当社だと、撮影に対するハードルが低いので、簡単にやりましょうと言えるし、動画からスタートしてLPを提案したりと、サイト制作につながることも多いです。

──ワンストップで提供できるからこそ、多くのクライアントからの信頼を得ているのですね。だからこそ、ざっくりとしたオーダーも多いのではないですか?
武内:そうですね、明確なイメージがないところから依頼をいただくことも多いですね。僕たちディレクターがそれを形にしていくのですが、営業の協力あってですね。ディレクターは前半の派手な部分を担うのですが、後半の細かな部分を営業がきっちりと詰めてくれています。

左から:制作部次長 近藤さん、制作部部長 武内さん

──営業と制作というと、対立してしまいがちなイメージがあるのですが、貴社は信頼関係があってうまく連携がとれているんですね。
武内:もちろん過去に戦ってきた部分もありますよ(笑)。でも今は総じて仲はいいですし、案件に向き合うスタンスは同じなので、企画出しも、営業が一緒に参加して、各自で企画を出し合おうということをやっているんです。僕が考えても営業が考えても一緒だと思っているんですよね。クライアントのことをしっかり考えて、世の中の流行やトレンドなどからスパイスを抽出してくることは、誰がやっても同じ作業。それに、破天荒なものから入ったほうが、現実レベルに落とし込んで形にしてみると、予想外に面白くなることもあります。
 
──企画に関われると、やりがいにつながるでしょうね。
近藤:おっしゃる通りです。あとは、「全体最適」という考え方を大切にしています。セクショナリズムが横行していくと「部分最適」や「全体不適」が起こりえます。そこを全体最適にするために、どのセクションが負担すべきかを考えています。たとえば、制作部の隣に製版チームがあって、通常はデザイナーが入稿したあとの修正作業を担っているのですが、製版チームが忙しいときは制作部が引き受けることもあります。割とボーダレスにやっているんです。

──融通をきかせて皆さんで支え合っているんですね。
武内:部門長同士も週1回ミーティングをおこなっているので、全体最適を探る機会があります。あとは、製版チームの社員が制作部のデザイナー向けにIndesignの教育講座を実施しています。印刷会社は製造業なので、ミスが命取りなんです。5万部10万部刷り直しということもありうるので、軽い気持ちでやってはいけない。そういった教育もきちんとしながら、馴れ合うことなく悪いものは悪いときちんと言える信頼関係を構築しています。

近藤:ボーダレスという点では、デザイナーもディレクター的な立ち回りも兼ねて、縦割りではなく幅広い業務を担当しています。当社には、社内にずっといるデザイナーなんていないんです。デザイナーが社内で作業するだけだと、誰のための、なんのためのものなのか、イマイチわからないままつくってしまうことがあると思うんですよね。クライアントと話をして、意向を把握した上でつくるほうが、よりニーズに近いものになると思うので、デザイナーを打ち合わせに行かせるようにしています。
 
武内:クライアントの生の声を聴くことは重要ですよね。クライアントがどう考えているのか、どう感じてるのか、また、デザインの部分だけでなく、会社がどういう方向性を目指しているのか、ということも考えたり感じたりしてほしいなと思っています。また、冒頭でお話したように、やっぱり撮影が命だという考えなので、撮影時のディレクションもデザイナーがおこなっています。スタジオでカメラマンやスタイリストをディレクションする、かつ、クライアントとも直接顔を合わせるというのはすごく良い経験を積める環境ですよね。
 
──いろいろできる反面、忙しそうと思ってしまいますが、貴社はここ数年で残業を減らす取り組みにも注力されていますよね。
武内:基本的に20時退社を実施しています。昔は徹夜をするのが当たり前という時代もありましたが、最近はそんなことはなく、かなり変わりましたね。総務だけでなく、僕たち各部門長も、部下の残業時間を把握して管理するようになりました。みんなでホワイトボードに退社予定時間を記入して申告するようにしています。それだけでも意識が変わりますし、上司が残っているとみんな帰りづらいと思うので、僕もできるだけ早く帰る日をつくるようにしています。

──話は変わりますが、貴社は、年賀状と暑中見舞いにかなり力を入れていますよね。あれはどういった意図があるのでしょうか?
近藤:力を入れているというか、狂っていますよね(笑)。今年の年賀状では、百人一首をテーマにして、社長や常務、専務も含め、みんなで十二単や皇族の衣装を着て写真を撮りました。実際に百人一首の札もつくって、社員ひとりひとりの句もその人のパーソナリティに合わせて書いたんです。また、昨年の暑中見舞いでは、ダジャレなんですけど「オツカレーサマー」という、オリエンタルカレーさんとコラボして、レトルトカレーをつくりました。インドの衣装を借りて撮影をして、オリジナルのパッケージをつくって。社長にも衣装着てしゃべってもらって、CMをつくってサイト上で流しました。

2017年暑中見舞い キャンペーンサイト

──社長も巻き込むところがすごいですよね。
武内:暑中見舞いと年賀状って、すべてのクライアント、関係者に一気に訴求するものなので、新日本印刷の一大販売促進だという考えなんです。販促とはこうあるべきだというのを形にしたくて。カレーの場合だと、まずハガキを送る、そして、ハガキについているQRコードを読み込むとWebサイトに流れる。Webサイトを訪れるとカレーのCMが流れる。そのタイミングで営業がクライアントを訪問すると、「また変なのつくったね」と言われて、そこで実はこれなんですってレトルトカレーを渡す。同時に社内でも、暑中見舞いをポスターにして掲示したり、顔出しパネルつくって設置したりと、来社される方にも見ていただけるようにしました。結局、暑中見舞いや年賀状でやっていることって、クライアントに提案したいことなんです。紙から始まってQRコードでWebに誘導する、そこで動画の訴求力を活かしてリアルへつなげる。印刷物を起点にクロスメディアしていくというのはこういうことですよ、うちの考える販促ってこういうことですよと。クライアントに対して、カタログにQRコード載せましょうとか、わかりにくい商品の説明をムービーで見せましょう、と提案するのも結局同じことですよね。
 
──実験的な部分も兼ねているのでしょうか?
武内:そうですね、クライアントで初めて経験するよりは、自社内で先に経験してみるのがいいかなと思っています。その考えで今年の年賀状ではVRも試してみました。あと裏目的で、盛大にできるということを示したいというのもあります。印刷業界は斜陽産業だと言われることが本当に多いのですが、デジタルなどを絡めてこんなにできるよ! ということを伝えていきたいんです。だから「新日本印刷ならなんでもできる」という印象を植え付けられれば成功だと思います。そこに悪ふざけが乗っかってるだけなんですけど、きちんと狙いがあるんです。
 
──なるほど、そういった企画意図があったのですね。次の暑中見舞いが楽しみです!笑
 

50周年を機に全面リニューアルしたオフィス

※2018年5月に取材した内容を掲載しています。