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宇宙利用の常識を打ち破る。小型衛星技術のパイオニアとして「宇宙を普通の場所に」─株式会社アクセルスペース

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独自で開発・製造した超小型人工衛星を運用し、多様なソリューション提供を行うアクセルスペース。同社は東京大学と東京工業大学の研究室から生まれた宇宙ベンチャーのパイオニア企業です。今回はアクセルスペースでCBO(最高ビジネス責任者)を務める山崎泰教さんにインタビューをしました。世界を舞台に活躍する同社の広報担当に求めるマインドとは一体どのようなものか、お聞きしてきました。(マスメディアン編集部)

──まずは、宇宙ベンチャーにおける貴社の立ち位置を教えてください。
宇宙事業には、ロケットをつくる会社と人工衛星をつくる会社、大きく分けて2つのカテゴリーがあります。当社は後者で、人工衛星の設計、製造、運用をし、さらにはデータを解析してソリューションを顧客に提供することを目指しています。実は、このように川上から川下まで網羅している会社は、世界全体で見ても片手で数えられるくらいしかありません。

──そんなに希少なんですね。貴社はなぜ川上から川下まで一貫して実現できているのでしょうか?
当社は、東京大学と東京工業大学、2つの研究室から生まれました。昨今の宇宙ベンチャーブームが起こるはるか前から、宇宙技術の可能性を信じて研究に取り組み、要素技術を確立してきたことが強みだと思っています。

──他の宇宙ベンチャーよりも歴史があるからこそ実現できるのですね。
現在、立ち上げから11年が経ちました。今後は宇宙をもっと当たり前の場所にしていきたいと考えています。例えば、インターネットが2000年代に急速に発達し注目を集めましたが、いまや当たり前の存在になって、わざわざ「インターネット」という言葉を使わない時代になっていますよね。宇宙も同じで、いまは盛り上がりの渦中にいるので、「宇宙ビジネス」という言葉がことさら取り上げられていますが、その存在が当たり前になる世界を目指しています。

──“宇宙が当たり前に”……未来が楽しみですね。データの解析・提供まで行うということですが、具体的にどのように活用するのですか?
簡単に言うと、「地球を可視化する」ということをやっています。単純に地球の画像を見たいというニーズだと、大きなインフラプロジェクトを定点観測するという事例があります。例えば、日本の会社が海外で大きなダムをつくる際、日本にいながら現地の状況を高い頻度でモニタリングすることができます。

一方で、画像に解析を加えて、なんらかの価値に変えていく、というビジネスもあります。例えば、森林のモニタリングです。世界中で森林の健康が脅かされていますが、状況を詳しく把握するためには、広範囲を高頻度で撮らなければならないので、衛星画像以外に方法がないんです。ドローンではアマゾンのような広大な土地を網羅するのは不可能ですし、飛行機を飛ばすには莫大な費用がかかります。唯一、広範囲をカバーできるのが衛星なんです。当社の衛星には、近赤外線を搭載しており、衛星画像に解析を加えることで、森林の健康状態を把握することができます。

アクセルスペースから打ち上げられた地球観測衛星「ほどよし1号機」が撮影した富士山の様子

アクセルスペースから打ち上げられた地球観測衛星「ほどよし1号機」が撮影したルワンダの首都キガリの様子

──どのような企業が貴社のデータを活用しているのですか?
基本的には民間企業です。たとえば、森の保全をブランディングに掲げているような企業に、衛星を使って森を守りましょうというアピールをしています。重要なのは、CSRとしての取り組みではなく、たとえば飲料メーカーさんが水を守るというように、根幹となる事業の向上を目的としています。当社は宇宙というものに、研究開発ではなくビジネスとして取り組んでいるので、きちんとマネタイズする必要があります。研究開発とビジネスの大きな違いは、研究開発は行為そのものが目的なので、たとえ失敗しても一つの結果として評価されます。でも、ビジネスはもっとシビアで失敗が許されません。サービスが売れないと生き残っていけないので、ニーズがあってお金を払ってもらえるということが大事なのです。

──海外のプロジェクトにも関わっていらっしゃいますが、政府が介入することもあるのでしょうか? 
いえ、当社が独自にアプローチしています。我々は、世界のトップレベルの人たちに直接アクセスできるという強みがあります。現在、ルワンダの首都キガリで空港建設の定点観測に携わっているのですが、この案件では大臣と直接交渉をして進めました。このような場合、コネクションの有無が重視されがちですが、大事なのはコネクションではなく、トップレベルの人たちと対等に話せるかどうかなんです。大企業の名刺を持っていれば最初のドアは開けられるかもしれないし、名刺交換をして笑顔でミーティングを乗り切ることはできるかもしれない。でも、相手に「もう一度会いたい」、「この人と会うことは価値がある」と思ってもらうのは非常に大変です。当社のビジネスチームにはそれができると考えていますし、そこからビジネスにつながると思っています。私自身、ミーティングに臨むときは、相手にもう一度会いたいと思ってもらえたら成功だと捉えています。

──成功に導くために、山崎さんが心がけていることを教えてください。
人を相手にしている以上、予測不可能なので決まった公式はありませんが、ひとつ言えるとすれば、本気で相手のことを知ろうと思ってミーティングに臨み、相手の共感を得ることです。AIが人間の仕事を奪うと取り沙汰されていますが、相手の心を掴み、共感してもらい、ビジネスにつなげるというのは、ロボットにはできないスキルですよね。重要なのは、たくさんの知識を持って、カッコいい服を着て行くことではなくて、可能な限り相手を理解しようとすることです。短い時間のなかで、隠れている相手のキャラクターを見つけ出して、相手に寄り添った形で会話をすることが大事だと思います。

──今回募集されている広報のポジションにおいても、それができる人材を求めていらっしゃるということですね。
もちろんです。会社の顔、アンバサダーとして、アクセルスペースを象徴する存在になるので、メディアの方に会ったときに、話をもっと聞きたい、応援してあげたいと思わせる要素を持ち合わせていることは重要ですね。そして、一番大事なことは、当社がやっていること、やってきたこと、これからやろうとしていることに対して、本気で共感できるかどうかだと思います。役者ではダメで、「仕事だから会社のいいところを言う」だと、それが伝わってしまいます。本当に自分たちの会社を信じて、会社の事業が世の中にとって価値のあることだと考えられる人であれば、自然と出てくる言葉が人々の共感を呼ぶんです。当社のようなスタートアップ企業に入ることは、安定性という意味では、大企業に比べるとリスクだと言えます。それでも、なんらかの理由で、この会社のやっていることや、この会社でできることに期待感を持って来てくれるのであれば嬉しいですね。

──「この会社だからこそ実現したい」という熱い思いを持った方を迎えたいということですね。現在、広報の体制はどのようになっていますか?
現在は私とCEOが手がけているので、ジョインした場合は、私たちと一緒に、日本国内だけでなく世界中の地域に向けた広報活動に取り組んでいただきます。実際に、私は毎週のように海外に行っていますし、今度、CNNが香港から取材に来てくれます。このようにグローバルな環境で、当社の正しい姿を正しく、そして誠実に発信してほしいです。

──「正しい姿」とおっしゃっていますが、現状は正しく伝わっていないと感じていらっしゃるのですか?
まだまだ足りていないと思います。業界全体が盛り上がっているので、「宇宙ベンチャー」という言葉だけが独り歩きして、華やかなイメージを持たれがちです。しかし、当社の根底には実直なエンジニアリングの精神がありますし、派手なコミュニケーション活動はやっていません。実は、スポンサーシップはしないというポリシーを貫いているんです。お金さえ払えば好きなところに好きなだけ露出できますが、単純にたくさんメッセージが出ていけばいいという考えは持っていません。今月はこれだけ露出していて、広告宣伝費に換算するといくらだ、という考え方は、私たちにとっては意味のないことなんです。当社の話を聞きたいと思ってくれた人のところに真摯に話をしに行くということを地道にやっています。会社として、人工衛星を少しずつ開発してビジネスにしてきたように、広報に関しても、腰を据えて長い目で丁寧なコミュニケーションをとっていきたいと思っています。テクノロジーによってコミュニケーションが効率化できる時代になっていますが、結局は人と人との話なので、そこに効率は求めない。正しい方法で、正しい媒体で自分たちのメッセージを伝えていきたいです。

──メッセージを正しく伝えていくために、エンジニアリングなどの専門知識は必要でしょうか? 
まったく必要ありません。ただ、もちろん社内のエンジニアとのコミュニケーションは不可欠ですし、自分がわからないことをわかりやすく伝える、通訳家になってほしいです。世の中のほとんどの人にとって、当社の事業はよくわからないと思います。お茶の間と同じ目線で、リポーターや記者のようにわからないことをぶつける、会社と世の中をつなぐ接点になっていただきたいですね。

──最後に、これから仲間となりうる方に向けてメッセージをお願いします!
私とCEOのパートナーとしての人材を求めているので、言われたことをやるのではなく、自主性をもってやりたいこと、やるべきことを決めて、世の中とコミュニケーションをとっていただきたいです。当社の事業は、日本はもとより世界中から期待されていて、スタートアップとはいえ、本気で世界のマーケットを見据えています。そのダイナミックな環境に飛び込んでいける大きなチャンスだと思いますし、一緒に未来をつくってほしいです。

──ありがとうございました!

※2019年10月に取材した内容を掲載しています。