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来たるモビリティ社会に向けて、レガシーな業界を内側からアップデートしていく―JapanTaxi株式会社

企業特集

日本初・日本最大級のタクシー配車アプリ『JapanTaxi(旧:全国タクシー)』を運営するJapanTaxiに伺いました。タクシー業界大手の「日本交通」というバックボーンを持ちながらも、さまざまなプロダクトを続々と開発し、さながらスタートアップ企業の様相です。またモビリティの変革が期待される2020年に向け、トヨタ自動車など日本を代表する企業から多くの資金調達が実施され、大きな期待が寄せられています。今回は、同社のマーケティングの中川祥一さんにお話を伺ってきました。来襲する黒船ではなく、業界を内側から変えていこうとする同社の目指す未来を語っていただきました。(マスメディアン編集部)

――はじめに貴社の手がけている事業について教えていただけますか? タクシー配車アプリ「JapanTaxi(旧:全国タクシー)」を開発・提供していることは存じ上げているのですが…。
そうですよね、各種報道でタクシー配車アプリ「JapanTaxi」についてはある程度の認知があるのですが、サービスすべての網羅は難しいですよね。現在、当社で手がけている事業は主に5つあります。まずは、配車アプリなどユーザーとタクシーをつなげる「配車プラットフォーム事業」です。そのほか、決済タブレットやネット決済の導入など、タクシー関連の新たな決済方法の開発をしている「決済プラットフォーム事業」、タクシーを媒体と見立てる「広告事業」、ドライブレコーダーやメーター、決済機などハードウェアの開発・装備する「IoT事業」、さらに今後のビジネスのタネとなるものを研究・開発していく「R&D事業」、これらが当社の5本柱です。

――BtoCだけでなくBtoBも幅広くてがけていらっしゃるのですね。ちなみに事業ごとにそれぞれチームが分かれているのでしょうか?
部門としては、開発部とマーケティング部、セールス部、コーポ―レート部の4つがあり、開発部とマーケティング部、セールス部が横断的に5つの事業に関与しています。私はCMO(Chief Marketing Officer)である金高恩が統括しているマーケティング部の中にあるコミュニケーションデザイングループに所属しています。

――中川さんの所属するコミュニケーションデザイングループは主にどの事業に取り組んでいるのでしょうか?
5つの事業すべてに関わっているのですが、「配車プラットフォーム」と「決済プラットフォーム」がメインになります。プラットフォームですので、ユーザー側のアプリと、乗務員側のアプリやシステムの両方を含んでいますが、我々のチームは主にユーザー側に注力しています。ユーザーのアプリ認知率向上やアプリのダウンロード誘導などですね。主な打ち手としてはTwitterなどデジタル広告や交通広告などオフライン広告です。これらをメンバー7名で分担しています。もちろんユーザー側だけでなく、乗務員側の配車システムに注力しているメンバーや、当社決済システムを普及させるためにユーザーへアプローチしていくことを担当しているメンバーなど、他の部署と連携しながら取り組むことは増えてきています。「移動で人を幸せに。」というミッションの実現に向けて、メンバーが部署を超えて業務にあたっています。

――なるほど、「移動で人を幸せに。」というミッションが根幹にあるのですね。そして、ミッションを実現するために5個の事業とプラットフォームがあるということなんですね。それでは具体的に貴社ならではの特徴、大手タクシー会社の日本交通がグループであるからこその魅力などについてお聞きしたいです。
日本交通がグループということもあり、タクシー業界に根ざしながら最先端な分野に挑戦していることが一番の特徴かなと思っています。モビリティ分野に参入している他社の多くはITベンチャーです。IT業界を起点に、レガシー業界に参入しているんです。でも我々の場合は、レガシー業界の内側からアップデートをしていく、という発想が起点の会社なため、そもそも立ち位置が違うんです。ありがたいことにこの1年で、大型の資金調達も何度かでき、業界を代表する存在になれたかな、と勝手ながら思っています。あとはさきほどの繰り返しになりますが、配車プラットフォームだけでなく他の事業と連携している点が、他のITベンチャーとは違う点かと。ITベンチャーのようなワンプロダクトをいかにスケールさせていくかを考えるのではなくて、複数の事業で「モビリティの便利さ」を追求していくので、他にはない面白さを感じられる会社かなと。

――ミッションの達成に向けてさまざまなプロダクトがあるのは魅力的ですね。
今年、相乗りタクシーの実証実験が行われ、当社も『相乗りタクシーアプリ』というプロダクトを開発して、参加しました。相乗りは、要はマッチングです。どこの行き先が多いのかなどを分析して、事業として成り立つのかを判断する必要がありました。そこで当社はソフトウェアだけでなく、ドライブレコーダーなどのハードウェアのプラットフォームも持っているので、自分たちでデータ収集をすることができます。バーチャル上だけでなくリアルでも豊富なデータを活用できます。これは他社にはない当社の強みですね。

――では逆に、レガシー発だからこそのしがらみやフットワークの重さみたいな部分もあるのでしょうか?
その辺りの課題はありますね。ユーザー側のアプリで入った注文をタクシーの無線で伝えなければならないとか。ほかにも、ある機能を実装したときに、片方では完璧に作動するのに、もう一方で上手くいかない、みたいなことも。ただ日本は法規制が厳しく、産業ごとのレギュレーションが多いので、レガシー発だからこそ、先にその壁にぶち当たれるのは、ある意味で我々の強靭さの源泉になるのではと感じています。日々、色々な課題が発生し、それを解決して、トライ&エラーを繰り返しています。それこそ本社ビルの1階に日本交通があり、3階にJapanTaxiがあるため、開発中のものをすぐに試して、エラーがあればすぐにフィードバックが返ってくる。このスピーディーな連携は他社にはできないことですね。また都内に日本交通の営業所が5拠点あり、そこに行って設置して実際に走らせることもできます。日本交通の乗務員さんたちから「ここが使いづらかったよ」などとすぐに意見が挙がってきて。古くてつまずくときもありますけど、それよりも優位性に変えられている部分の方が多いですね。

――実証実験がしやすい環境は、貴社ならではですね。ではその他に現在課題に感じていることはありますか?
そもそも、「アプリでタクシーを呼べる」ことの認知率が低いんです。20%強で、いかにして認知率を上げていくかがマーケティングの課題となっています。我々としては、「流しで乗る」、「乗り場で乗る」、「電話で呼ぶ」、そこに4つ目の選択肢として、「アプリで呼ぶ」ということを提案しています。

――そういった現状だったんですね。ではこの課題に向けて、どのようなメンバーで取り組んでいるのでしょうか? 
前職が広告会社やデジタルエージェンシー、ITベンチャーなどのメンバーが多いです。皆一様に、レガシーな業界にもかかわらず、最先端であることに惹かれて入社しています。近年注目の決済領域ができたり、最新のアドテクノロジーを使った配信ができたり。あとは逆にリアルなチャネルがあるのも魅力なようです。たとえば、タクシーの乗務員がクーポンコードの記載されたカードをお客さまに手渡しで配り、アプリユーザーにしていくといったリアルなチャネルのことです。これまでデジタルだけをやってきた人からすると、なかなかないシチュエーションで面白いみたいです。あとはどんどん資金調達され、プロモーションのスケールも大きくなってきているので、それもスタートアップにはない規模感です。

マーケティング部
コミュニケーションデザイングループ
グループマネージャー
中川祥一氏

――たしかにマーケティング予算はスタートアップと比べ物にならないぐらいですね。ちなみに皆さん、どのぐらいの年齢なんですか?
平均年齢は33歳です。20代後半から30代前半がボリュームゾーンです。その年代って、自分が本当にやるべきことはなんなのかを考えるタイミングじゃないですか。タクシーも“人の足”という面で公共交通なため、社会貢献に直結しており、魅力に映っているようです。私自身も前職の広告会社時代に、社会の役に立っていると実感できるビジネスのコミュニケーションの支援をしたことがきっかけで、そういった事業を展開する会社を意識するようになりました。そんなときにJapanTaxiに出会ったんです。これまで説明したように、タクシーという昔からあるモノを、テクノロジーを使ってアップデートしていくという姿勢と、タクシーがより便利に、より安く乗れることの公共性の高さに惹かれました。あともう1つはトップのコミットメントがとてつもなく強いことです。当社CEOの川鍋が自ら、「タクシー業界を変えなければいけない」という強い思いで、旗を振っていて、その熱量にあてられました(笑)。

――それが優秀なマーケターの方々を集める求心力になっているんですね。
本気なんです。我々が携わる事業が、世の中を良くすることができると信じているので。

――そんな貴社では、どのような人材を必要としているのでしょうか?
当社の行動規範の1つに「スキルよりマインド」というものがあります。スキルも大事ですが、いまはスキルを持たずとも、マインドを強く持っていれば、仕事の過程でいくらでも身に付いていく、という考えです。最近、広告運用ポジションで入社したメンバーがいるのですが、インハウスの広告運用だけでなく、いずれはアプリ間連携やアプリの機能開発、マスコミュニケーションまで担っていきたいと話しています。そういう社員に対して、会社もそれが叶う案件をアサインしていくつもりです。

――自己成長につながる職場ですね。最後の質問ですが、昨今話題のMaaS(Mobility as a Service)について。自動車業界だけでなく、鉄道会社やITベンチャーなどさまざまな会社が参入していく中で、タクシー業界として貴社はどういうポジションを目指すのでしょうか? 
当社が持っている資産を生かして、MaaSへ切り込むつもりです。たとえば、タクシーは24時間365日ずっと走り続けているため、他の公共交通機関の乗り物よりも多くのデータを取得できます。自家用車の約7倍走っているという調査もあり、都内だけで4,500台、国内だと約70,000台のネットワークを駆使して、通常のマップより多くのデータを含んだ3Dマップの実装が可能になります。

――3Dマップは何に生かされるのでしょうか?
自動運転などです。たとえば、「走行できる道路がちゃんとある」といった情報や「事故が起きて通行できない」、「工事で一車線しか走行できない」などの情報を、ドライブレコーダーなどを通して、リアルタイムにデータ収集し、3Dマップ化していきます。これらのデータが、自動運転の実装への第一歩になります。

また海外で議論されているモビリティが抱える課題は渋滞改善などの都市問題ですが、日本では少子高齢化に伴う地方の過疎化や業界の人手不足などの社会課題が今後の課題に挙げられます。たとえば、人手不足の解決につなげる一手として当社は、乗務員に対する需要予測サービスを提供しています。日本交通では毎年130人ほど新卒のドライバーを採用しているのですが、もともとタクシードライバーは経験則がものを言う世界です。年配ドライバーのほうが、道も知っているし、時間帯ごとの最適な流しエリアも知っています。このため、歩合制では新卒乗務員は稼げず辞職してしまい、ドライバーの高齢化が進んでしまうといった問題がありました。そこで若手ドライバーをサポートしていくために、需要予測サービスを開発しました。若者はデジタルネイティブなため、当社の事業への共感や飲み込みが早く、いち早くこのサービスにフィットしていきました。もちろん当社の取り組みだけの影響ではありませんが、実際に東京都の乗務員の平均年齢が今年初めて下がったんです。このように、当社の5つの事業を通して、タクシー業界の課題の解決や、さらには日本が抱える社会課題の解決も目指していけたらと考えています。

――たしかにお若い方を見かける機会が増えたように感じます。これまでの慣習にとらわれず、業界内からアップデートされていかれるのですね。今後の貴社の活動もますます目が離せませんね。本日はお話ありがとうございました。

※2018年10月に取材した内容を掲載しています。