食品メーカーのマーケティング活動をデジタルシフト!? 必要不可欠なインフラ目指して―クックパッド

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企業特集

料理をする人からすると、いまや欠かせないなクックパッド。同社はさらに、食品メーカーのマーケティングにとって必要不可欠なポジションの確立に向けて着々と準備を進めています。具体的にどのような取り組みをされているかについて、マーケティングサポート事業部の責任者である齋藤さんにお話を伺いました。(マスメディアン編集部)

――まずはじめに齋藤さんのキャリアについて簡単に教えてください。
これまでずっとWebメディアの広告営業としてキャリアを積んできました。1社目はスタートアップ企業でゼロからの事業立ち上げを経験し、2社目はポータルサイトで広告営業や事業所の責任者を、そして現在に至ります。最初の2社では幅広い業界を扱っていたので、一つのカテゴリーに絞って深く入り込める仕事がしたいと思いクックパッドに入社しました。
 
――そのように思われたきっかけはなんだったのでしょうか?
幅広い業種を扱うメディアというのは、一つの業界について深く知ることよりも、広告配信の手法やテクノロジーに重きを置いているように感じます。でも、そういった知見は、情報社会では簡単に手に入れることができるので、自分自身の優位性は今後保ちづらいと感じていました。広告を運用する人、少しデジタルの知識がある人くらいにしかなれないので、キャリアアップのイメージが沸かなかった。それよりも、一つの業界についてのマーケティング全般を知っているという立場になりたいと思ったんです。ユーザーインサイトが一番興味深いと感じているので、そのデータを扱える特化型のメディアを志望しました。
 
――コスメや不動産などほかにもカテゴリーがあるなかで、なぜクックパッドだったのでしょうか?
クックパッドって、料理をつくる頻度に関係なく、つくる人の多くに役立っているメディアなんです。そういう点が僕にとって魅力的でした。たとえば、不動産情報サイトだと、住宅の情報を得たいという目的を持って訪れて、家を買ったり借りたりするきっかけになりますよね。それって、自分が必要なときに、必要に迫られて見に行くものであって、毎日の日常に欠かせないものではないかなと思います。日々の生活スタイルに役立つ情報があるわけではないですよね。特定の時期に必要な情報を伝えるメディアではなく、毎日の日常に影響を与えるメディアに興味を持ったということです。

クックパッド株式会社
マーケティングサポート事業部 部長
齋藤貴生氏

――日常に根ざしたメディアに興味が惹かれたんですね。クックパッドに入社した後はどのようなお仕事をされてきたのですか?
広告営業として入社して、現在はクックパッドの広告チームをまとめるポジションに就いています。最初の仕事は、クライアントの調味料メーカーと一緒に、マーケティング全般における課題解決をデジタルでどう解決していくかというテーマで取り組みました。メーカーの多くはマス広告がメインで、テレビ中心のコミュニケーションを展開されているんです。そこからいかにデジタルにも目を向けていただくかが難しいのですが、それを考えて取り組んできました。
 
――具体的な事例を教えていただけますか?
デジタルマーケティングをこれから着手していこうというクライアントがいたのですが、クックパッドでの各種施策によって、それまでのマス中心の手法から、デジタルも含めた手法に変わりました。そのクライアントのある商材は、テレビのタイムCMとスポットCM、そして販促キャンペーンの3つを中心に展開していました。販促の主な内容は、食品でよく見かける「今だけ◯%増量」といった類のものです。デジタルシフトを進めていった結果、スポットCMと販促キャンペーンの2つをストップしても問題ないことがわかりました。まず、試験的にスポットCMを止めてみたのですが、クックパッドのカテゴリージャック広告とタイムCM、販促キャンペーンだけで、売り上げが前年比とほぼ同等を維持できたんです。そこで、スポットCMを止めてもほとんど影響がないという判断になりました。さらに販促キャンペーンも止めて、その分の予算をさらにクックパッドにシフトした結果、年間の売り上げが前年比で3%増加したんです。このように、プロモーション費を削減しても売り上げアップにつながるという勝ちパターンが証明されました。

Cookpad カテゴリージャック広告イメージ

――メーカーとクックパッド両方のデータを掛け合わせて数字を追っていく感じでしょうか?
そうです。また、ユーザーの購買行動もトラッキングしています。たとえばある簡便調味料では、かなりの認知があるため、広告が見られているのかの検証と、商品のリピート施策について取り組んでいます。具体的には、クックパッドであるレシピ名を検索すると、その簡便調味料の広告が連動して掲出されるのですが、その広告を見た人がよりヘビーユーザーになることが確認されました。あるレシピをつくろうと検索したときに、すでに家に使用する調味料があるため、あとは野菜などの食材を買えばいいだけで、ユーザーにとってはレシピをつくる障壁が下がるわけです。こうして使用頻度を上げることで購買のサイクルが生まれるということを、クックパッドの分析でも証明し、メーカーの売上伸長でも明らかにしました。
 
――購買行動や最終的な売り上げにまで影響を与えられるのですね。それでは、今回の採用について伺っていきたいのですが、募集している人員はどういったポジションでしょうか?
広告の企画提案営業です。今お伝えしたようなことを、いろいろなクライアントに横展開していただきます。またこの勝ちパターンだけでなく、新しい成功パターンもつくっていってほしいです。
 
――実際に社内では、どのような方が活躍されていますか?
クライアントや企画にコミットできる人は強いです。たとえばクライアントの商品をさまざまな方法で調理したり実際に食べてみるとか。クライアントときちんと向き合える人は、クライアントからの信頼も勝ち取り、アカウントを広げています。それから好奇心の強い人もです。ある程度アカウントが大きくなって、一定数の広告出稿をいただいていると、同じことをしていても、まわってしまうんです。でも、それを続けるといずれ必ず落ちていくので、新しい情報やアイデアを常に取り入れようとする人が活躍し続ける思います。
 
――皆さん、貴社のどのような部分を魅力に感じて入社されたのでしょうか?
やはり最初はクックパッドのサービスのブランドイメージから興味を持っていただくのですが、いろいろと知ってもらった結果、クライアントに深く入り込めるという部分で魅力に感じているようです。また、当社の特殊な点として、もちろんデジタルの知見も求められますが、食のトレンドについて把握していなければなりません。“デジタル”と“食”、両方の専門家という立ち場なため、転職で入社された方は最初に戸惑うかもしれないですね。
 
――Webマーケティングの会社だとアドテクの知識で頼られますが、貴社の場合は「食のトレンド」で頼られるわけですね。
面白い例としては、Webメディアの場合、CTR(クリック率)偏重になりがちですが、実はimp(インプレッション:広告表示の回数※誰をターゲットにしてクリエイティブを見せるか)を重要視するべきだよね、ということがクックパッドの場合はあったりします。たとえば先ほどの簡便調味料の話だと、バナーが出たときに「この調味料を使ってこんな料理がつくれる」というクリエイティブで、広告コミュニケーションは完結していますよね。通販ではないので、クリックしてランディングページに遷移してカートに入れてもらう必要はないんです。このように、どこにゴールを据えるかによって適切なKPI(重要業績評価指標)を設定することが、我々には求められています。
 
――消費者心理にフォーカスできる目が必要ということですね。
おっしゃる通りです。メーカーのブランドマネージャーの方々と応対することも多いので、目的を明確に見定める必要があります。ブラマネの方たちはKGI(重要目標達成指標)に沿って業務を進めているので、CTRのようなKPIレベルの話をしても、「それで?」となってしまうんです。そういうことを理解しておかないといけないですね。
 
――視座の高さが求められるんですね。いまクックパッドとして新しく取り組まれていることがあれば教えてください。
ある流通企業とID-POSデータの連携・分析をしています。ID-POSデータと、クックパッドユーザーIDをシンクロさせ、どのような人が買物をしているかを分析し、売場づくりに活かす検証をしています。店頭でのOne-to-Oneマーケティングの体制を整えて、効果的なクリエイティブを配信できる仕組みづくりを整えようとしています。この取り組みの面白いところは、消費者のインサイトをクックパッドでつかみ、それに沿った企画をメーカーに提案・制作し、さらにその企画と連動した売り場を用意することができることです。
 
――それでは、最後に今後の目標を教えていただけますか。
食品メーカーのほとんどはまだまだテレビCM中心のコミュニケーションとなってます。なぜなら流通企業のバイヤーさんへの影響力が大きいためです。もちろんテレビのリーチ力は相当強いのも事実です。ただ昨今の消費者のテレビ離れやスマートフォン利用増の中で、我々はデジタルでの効果的なコミュニケーションのあり方を仕組み化したいと思っています。大手食品メーカーでテレビCMを選択しない企業は少ないですよね。そこに「クックパッドも選択しないのはありえない」といった立ち位置を築いていきたいです。さきほどお話した、デジタルとリアルがシームレスにつながっている仕組みはクックパッドだからこそできると自負しているので、その強みを生かして、より影響力のあるメディアを目指していきたいです。
 
現在すでに、料理者側のインフラになりつつありますが、今後はマーケター側のインフラとしてのポジションも目指していかれるんですね。お話ありがとうございました!

※2018年4月に取材した内容を掲載しています。