【コピージアム】お笑いとCM企画って似てますか? 芸人とプランナーのネタ開発放談

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イベント

「宣伝会議コピーライター養成講座」の開校60周年記念イベント「コピージアム2017」が8月28日から9月3日まで、東京・六本木の東京ミッドタウンで開催された。期間中に行われたトークセッションの模様をレポートする。

コピージアム2017大阪開催中![9月17日(日)まで]詳しくはこちら

金鳥や日清カップヌードル、LINEモバイルなどのCMを手がけてきたクリエイティブディレクター、CMプランナーの山崎隆明さん(ワトソン・クリック)と、お笑いトリオ「グランジ」の五明拓弥さん、遠山大輔さんが29日に登壇。「ネタ開発」という視点から見えた、CM企画とお笑いの共通点とは。

■お笑い芸人がTCC新人賞を受賞した経緯とは

山崎:プロの制作者でもなかなか獲れないTCC新人賞やフジサンケイグループ広告大賞の最優秀賞を芸人の五明さんが獲るってすごいことだと思います。私もTCC審査会場で受賞作になった東京ガスのラジオCMを聞きましたが、これがまたよくできてるんですよ。まず、なぜCM制作をすることになったのか、経緯が気になります。


グランジの五明拓弥さん(左)と遠山大輔さん

遠山:僕がMCをしているTOKYO FMの「SCHOOL OF LOCK!」という中高生向けの番組で、電通の澤本(嘉光)さんと知り合ったんですよ。


クリエイティブディレクター、CMプランナーの山崎隆明さん (ワトソン・クリック)

五明:それで、澤本さんに「CMの世界はどう?」とお声がけいただき、東京ガスさんのCM制作に関わらせてもらったんです。コントや漫才を作ったことはありますが、CMは勉強したこともなかった。右も左も分からない状態からのスタートでしたね。

山崎:今日はTCC新人賞を受賞したラジオCMをご用意しています。

五明:何してくれてるんですか。

遠山:公開処刑じゃないですか。

東京ガス株式会社 「母からのテレパシー」篇
 
ちやんと、栄養あるごはん食べてまか?
最近さむくなてきたから、お風呂につかつて、
からだあつためてくさい。
近いうちにかえて・・・(F.O.)
 
誤字脱字だらけのメールだけど
僕の携帯に入っているどのメールよりも
あたたかい。今日は母さんのいうとおり(以下略)
 

山崎:いやぁ、上手いですねえ。これのアイデアの取っかかりはどこからうまれたのですか?

五明:「設定は風呂でお願いします」と東京ガスさんから言われて、「風呂→あったかい→お母さん→お母さんによくあること→メールの打ち間違い」と逆算しました。澤本さんが「要は、お風呂をテーマにしたコントをつくってくれたらいいですよ」と言われて。それでパーッと先が見えたような気にがしましたね。

■CMが目立つためのポイントは「逆張り」

遠山:山崎さんのつくられた、「のん」さんが出演しているLINEモバイルのCM。あれ見たときに声出して「わー」って言っちゃうほど格好よかったんですけど、どのようにアイデアを形にしていくんですか?



山崎:目立つということは、相対的なものなんですよ。今、スマホなど通信業界の広告はコント合戦みたいになっているので、あえて語り口の違うものにしました。

五明:俯瞰で見て、逆張りするってことですか?

山崎:まさに逆張りですね。現代の人間の集中力って、8秒って言われてるんです。ちなみに金魚は9秒だそうです。金魚より集中できないんですよ。なぜかというと、情報が多すぎるから。だからできるだけ情報量を絞って、惹きつけられるものをつくろうという発想でしたね。

遠山:なるほど!目立つには意外性が大事なんですね。

■コントもCMも、自分のスタイルで勝負する

山崎:コントとCMの関係についてお聞きしたいんですけど、コントをつくるときとCMをつくるとき。やっぱり違うものですか?

五明:面白いことへのアンテナを立てて、「これは!」と思うアイデアを発見したら、少しずらしてみよう、と考えるところは似てますね。コントもCMも。

山崎:笑いはズレや意外性がポイントですよね。コントは笑わせることが目的だけど、CMはメッセージを伝えるための手段のひとつとして笑いがある。やっぱり笑いは人にメッセージを伝えるときのツールとしては効くんですね。僕のお気に入りのコントが「お坊さんと合コン」なんですけど……。

これも何が面白いかって言ったら“ズレ”じゃないですか。合コンにお坊さんが来るっていう。これはCMになるなぁって思ったんですよ。最後に「楽しい飲み会、お店選びは〇〇で」って言えばグルメサイトのCM、「意外に自由です。お坊さんになりませんか?仏教大学」って言えば大学のCMになるかもしれない。

遠山・五明:おー!なるほど!

山崎:そう考えるとコントとCMって親和性が高いですね。接着点さえきっちりつくればいい。



遠山: NSC(吉本総合芸能学院)というよしもとの養成学校があるんですけど、ネタづくりでよく叱られたのは、「このボケやるために、このネタ考えただろ。そんなんじゃダメだ」って。だからその時は教えられるやり方でネタをつくってたんですけど、今やってても一つのボケに向かってネタを書いていく方がやっぱり自分には合ってると思うんですよね。

山崎:まず過去の先輩がやった成功事例の定型を学ぶことは大切。で、その型を崩していく。最終的には、形として変でも「失敗してもいいから俺はこれでやる」というスタイルをみつけて、そこで勝負する。すべっても諦めがつくし。一番ダメなのは、本当は自分で面白いと思っていないのに、「時代がこうだから」と自分を「寄せて」いくこと。それでは失敗したときに自分の血にも肉にもならないんですよね。

五明:確かにそうですね。昔のメモを見ていたら、当時はダメだと思ったけど「今ならいけるんじゃないか」と思うこともある。自分のスタンスに時代がついてくる、ということの可能性を信じてもいいのかもしれません。


(宣伝会議 編集部/宣伝会議 AdverTimes)