新聞が「折り紙」に変身、話題を集めたKINCHO広告の狙いとは?

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グラフィック

真っ黒な新聞広告 「超難解折り紙」 


新聞広告「超難解折り紙」。
読売新聞などに掲載した。


5月27日、新聞を開くと真っ黒な広告が掲載されている。よく見ると、白い線が無数に引かれ、下部には殺虫スプレー「キンチョール」とともに、大きく「超難解折り紙」と書かれている。

「キンチョール」を販売するKINCHO(大日本除虫菊)の新聞広告で、しかも折り紙になっていることは伝わるが、「超難解」と記載されている通り、折る順番が記載されておらず、どうやって折ったらいいのか分からない。

また、折った結果、どんな形が完成するのかも書かれておらず、線からも想像できないため、だんだん気になってくる。

困って左下を見ると、「ハエ・蚊はもちろん【http://www.kincho.co.jp/origami/】マダニにも。」とある。URLの上に、「作り方はこちら↓」と書かれており、ここの箇所に入る言葉が、この新聞広告を折るとできあがることが予想できる。

携帯電話でQRコードを読み込み、Webサイトにアクセスすると、そこに出てくるのは折り方を解説した動画だ。しかも、その動画の長さは54分47秒と長編。最後まで動画を見ると、この新聞広告を折ってできあがるのが「ゴキブリ」であることが分かる。


完成したゴキブリ。

KINCHOの狙いとは?
折り紙という広告クリエイティブと、Webまで誘引させる仕掛け、そして完成するとゴキブリになるという一連のストーリーがユニークな試みだ。なぜKINCHOは、今回の新聞広告を実施したのか。

同社 宣伝部 小林裕一氏は、「新聞広告がきっかけになり、Web上で情報が広がることを期待しました。そのためには、パッと見た瞬間に『なんだろう?』と思わせることが必要だったのです」と話す。

実際に、この新聞広告はSNS上で話題になり、「1時間以上かかった」「思った以上にゴキブリが生々しい」など、多くの人が折ってみた体験や感想を投稿している。さらにWebメディアの「ハフィントンポスト」や「ねとらぼ」などでも紹介され、記事が拡散された。

 
 
 

解説動画。折っていく様子を動画とテキストで紹介している。

ゴキブリも退治できることを訴求
今回の新聞広告で特に伝えたかったメッセージは、「キンチョール」がゴキブリにも使えることだ。一般的に、殺虫スプレーは蚊やハエなどに使用され、ゴキブリには専用の商品が使われることも多い。

小林氏は、「殺虫スプレーの『キンチョール』は、実はいろいろな害虫を退治できるのです。新聞広告では、ハエ・蚊・マダニの間にあえて隠すことで、ゴキブリを倒せることを印象付けました」と話す。

話題になった要因には、一連の仕掛けに加えて、完成したゴキブリのクオリティが予想以上に高い、ということもある。触覚が2本に、足が6本、その角度や折れ曲がり方など細部がリアルで、紙でできているのに少し気持ち悪い。

「こだわったのは、折り紙の難易度です。完成したら人に言いたくなるようなリアリティで、かつ頑張れば何とか折れるレベルに仕上げることに注力しました。特にゴキブリのお腹側は、よりリアルにしています」(小林氏)。

KINCHOは昨年も、ユニークな新聞広告を行っている。半5段の広告の中に描かれている蚊を数字の順番に従って、結んでいくと「買って」という文字が浮かびあがるのだ。

今回の折り紙の新聞広告では、広告を起点に話題性を高め、さらに商品のメッセージまで伝えている。新聞広告の持つ可能性を感じる、好事例と言えるだろう。



(宣伝会議 編集部/宣伝会議 AdverTimes)