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新技術で“食”の社会課題を解決するグローバルスタートアップ―ソウルオブジャパン株式会社

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世界人口増加に伴う食物の供給不足、それを補うための無理な食糧生産による環境汚染や動物虐待……。食料に関わるさまざまな問題が提起されているなか、食と環境の課題解決にチャレンジしているのがグローバルスタートアップ企業のソウルオブジャパンです。シンガポールで創業したピュアサーモングループ(現アブダビ本社)の日本法人として、2018年に発足した同社が取り組むのは、アトランティックサーモンの陸上養殖。日本法人の代表取締役であるエロル・エメドさんは「安心・安全で環境、人、そしてサーモンにもやさしいイノベーティブな養殖手法」だと語ります。事業の具体的な内容や展望について、詳しくお伺いしました。(マスメディアン編集部)

――まずはエメドさんのご経歴についてお伺いできますでしょうか。
イスタンブール(トルコ共和国)生まれですが、30年以上日本に住んでいるので、私の家はもう日本だと考えています。日本の大学院を修了した後、国内の投資顧問会社に入社して資産運用に関わってきました。その後は複数の企業の内部で、また外部のアドバイザーとして経営コンサルティングをしていましたが、ゼロからの事業の立ち上げにチャレンジしたいと考えていた頃、知人が設立したシンガポールの投資ファンドから「出資しているピュアサーモングループの日本法人の立ち上げを頼みたい」と声がかかり、同グループの日本法人であるソウルオブジャパンの代表に就任しました。

――ソウルオブジャパンが手掛ける事業について、具体的に教えていただけますか。
アトランティックサーモンの養殖事業、それも「閉鎖循環式陸上養殖」というイノベーティブな養殖事業です。日本でも同事業を実験ベースで取り組んでいる企業は何社かありますが、私たちはこの新技術を商業化の段階まで高めることに成功し、大規模に展開できる段階にきています。

ポーランドにあるR&Dセンターでは、既にアトランティックサーモンの養殖に成功し、欧州を中心に販売を始めています。そして、日本、フランス、アメリカ、ブルネイなどに閉鎖循環式陸上養殖の生産設備を建て始めています。設備建設は日本が最も先行しており、現在三重県津市に工場を建設しています。実際に行ってみると驚かれると思いますが、東京ドーム3個分に相当する14万平米の敷地面積を持ち、2024年からは年間約1万トンのサーモンを生産する予定です。国内の生食用サケ・マス類市場は10万トンとも言われていますので(*1)、その10分の1を占める数字となります。また、追加で1万トンの増設も見込んで、工場建設計画を進めております。グループ全体、つまり、全世界では26万トンの生産を計画しており、投資もスタッフの桁も圧倒的なものになります。

――閉鎖循環式陸上養殖について詳しく教えていただけますでしょうか。
簡単にいうと建屋を立てて水槽を構築し、魚を飼育する方法です。私たちは建屋の中に地球環境を擬似的につくっているのです。水槽は海洋で、建屋は空。汚れを押し流す海流のように、水をきれいに保つ役割はろ過設備が担っています。

ご存知の通り、サーモンは川で生まれて、海に行き、再び生まれた川に戻るというライフサイクルをたどりますが、私たちは塩分濃度を調整するなどさまざまな独自の技術で、その環境を閉鎖された室内で人工的につくり出すことができます。海水は人工海水を用いるため、外部から病原体が入ることはなく、したがってワクチンや抗生物質の投与も必要ありません。魚にとってストレスのない衛生的な環境です。天候にも左右されないため、安定して良質な魚の飼育が可能となります。

また、環境問題に対してもプラスの影響があります。現在、サーモンの養殖において主流となっている海面養殖には、生態系への悪影響やフンや餌による海洋汚染が指摘されていますが、閉鎖循環式陸上養殖ではその心配はありません。

――SDGsを体現する養殖方法ということでしょうか。
閉鎖循環式陸上養殖というフロンティアな技術は、サステナブルな養殖手法だと考えています。サーモンの海面養殖は、もともと適する海域が少なく、また環境負荷への配慮もあり、生産量がすでに頭打ちになっています。魚という食料を社会に提供するために、環境を犠牲にしなければいけない限界まで来ている。私たちの事業は非常に社会的意義のあるビッグチャレンジだと思っています。

また、日本では現在、アトランティックサーモンは100%輸入に頼っています。この手法で安定的に国内生産ができるようになれば、日本の食料自給率向上にも大きく貢献し、産業や雇用も創出できます。その意味で、環境、人、サーモンにとってSDGsを体現する養殖方法といえます。

――すごいですね。なぜ日本で先行して事業を展開しようと考えたのでしょうか。
1つは安定したインフラです。閉鎖循環式陸上養殖は24時間にわたって工場が稼働するため、安定した電力供給が不可欠です。もう1つの理由は、リッチな魚食文化です。海が豊かで魚種も多く、消費者は季節ごとの魚の楽しみ方を知っています。中でもサーモンは人気が高く、「回転寿司のよく食べるネタランキング」(*2)でも10年連続の1位となっています。この需要に対し、私たちは、新鮮で味の良いサーモンを国内で生産し、供給したいと考えています。

国内で生産するサーモンの販売は、伊藤忠商事と提携し全国的な流通体制を整える予定ですが、自社でもECを構築して、直接消費者に届けていきたいと考えています。

――今回EC担当者を募集するのはそのためですね。
私たちのサーモンは今後メディアなどを通じ人目に触れる機会が増えていくと思います。まずは、その時に興味を持った消費者に販売できるチャネルを確立したいと考えています。そのためサイトの制作と、流通・ロジスティクスなど手元に届くまでのプロセス構築をお願いしたいです。近い将来にはEC推進室やEC部といった、1つの部門になると想定しています。

生鮮食品ECの課題は、鮮度や品質を保ちながら素早く消費者の手元に届けられるかです。現に生鮮食品は、いまだにスーパーに出向いて自分の目で実物を見て買うのが主流です。しかし、経済産業省が発表したデータでも、若い世代は食品のEC化比率が高まっていることが明らかになりました。若者を中心にその心理的ハードルも下がっていき、自動運転などの技術の進化により流通システムが改善していくことで、生鮮食品をECで買うことが当たり前になる時代もやってくるでしょう。その時に備えて準備ができていれば、一気にECでの販売は伸びると思いますので、早急にEC事業を立ち上げる必要があります。

当社は現在、私も含めて5名というコンパクトな企業ですが、今年中には東京オフィスと三重工場で15名程度を採用する予定です。来年には一気に200名程度まで増員し、マーケティング部門や生産部門といった組織を構築していく予定です。

――ありがとうございます。ECは現在、ゼロからイチをつくる段階なのですね。
そうですね。そのため、自分で考えて挑戦できる方を求めています。私たちは資本から見ると小さい会社ではないのですが、まだ3期目のとても若い会社です。こうした企業の面白いところは、とにかく意思決定が早いところです。成功する可能性が高いと判断できれば、すぐに「やってみてください」と背中を押される。もちろんグループとしてサポートの体制がありますし、一人でなんとかしてくださいという無責任なことは言いません。サポート体制がしっかり整った環境で、自分が考えたビジネスプランの実現に挑戦したい方は向いていると思います。

――最後に、応募を検討している方にメッセージをお願いできますでしょうか。
私たちは、安心・安全で、環境に優しい方法で養殖されたサーモンを流通させる画期的な新技術を持っており、日本の食料自給率の問題や、環境問題などにアプローチできる、とても社会性の高い事業を行っています。その点にやりがいを感じていただける方は是非応募していただきたいです。

また、EC事業はこれから立ち上げの過程にあります。これだけ大規模なビジネスをつくりあげる経験はなかなかできるものではありません。チャレンジングで、かつ成功確率の高いビジネスだと信じています。一緒に挑戦したい方、是非お待ちしております。

――社会課題を解決するビッグプロジェクトに挑戦できる、とてもやりがいのある環境ですね。本日はありがとうございました!

※2021年4月に取材した内容を掲載しています。


*1:水産庁「水産白書平成30年版」による
*2:マルハニチロ「回転寿司に関する消費者実態調査 2021」による